九十九遊馬の眠れない夜
「さあ、お前にたっぷり快感を味わわせてやるぜ!」
「お前は?」
「唸る右手が精子を飛ばす!アリトだ!」
言うやいなや、アリトは右手を紅く光らせて遊馬の股間を開き、彼の息子を掴んだ。
「ひゃあぁ!」
「ただ扱くだけがオナニーじゃないってことを教えてやる。まずは軽いジャブからだ」
アリトは全体を撫でるように遊馬の息子を弄った。やわやわと軽く揉まれるように握りこまれ、もどかしい刺激に自然と遊馬の腰が揺れる。大分焦れてきた頃、今度は大胆に先端や裏筋をくすぐりながら全体を扱いた。
自分の意思とは関係なく緩急をつけて動く手は予測ができず、遊馬は快感に震える。自分で擦るよりもアリトの手は気持ちのいいポイントを的確に突いてきた。
「あっ……あぁ、あっぁ!」
自分の口から飛び出した自分のものではないような声に、遊馬はとっさに口を塞いだ。
「どうしたんだ?声抑えなくていいんだぜ?」
「だって……ぁ、下っ…には、ねーちゃんと……ばーちゃんがっ……!」
「その心配はいらない」
涙を湛え、眼を見開いて快感に耐える遊馬に、傍らに立っていた黄色い仮面の男が声をかけた。
「この空間は我々が来た時からオナニーズ・スフィア・フィールドに支配されている。私たち以外の声がこの空間から外に聞こえることはない。お前の姉がすぐ隣で寝ていようとな」
とりあえず、恥ずかしい声が外に漏れることはないらしい。彼の言葉に遊馬はホッとしたのか、身体の力が抜けた。
その隙を突いて、アリトは遊馬の息子の先端に爪を立てた。
「っ!やぁ!あああっ!!?」
「ストレートが効いたか?どんどんいくぜ!」
「じゃあ俺も参戦だ!」
緑の体表をした体格のいい男が遊馬の後ろに回った。
「全ての快感は我が手の中、ギラグ!…遊馬、お前ペニスを擦ることだけがオナニーだと思ってんじゃないだろうな」
「っえ…?」
「人間が感じるポイントはなあ、それ以外にもあるんだぜ。例えば、こことかな!」
ギラグは遊馬の来ていたシャツを捲し上げると、胸の突起をくりっと摘まんだ。
「っひゃ!?なんだこれっ……くすぐったっ…!」
「まあすぐにわかる。大人しく触られてろ」
ギラグは遊馬の胸の突起を摘まんだり転がしたりしながら、彼の細腰を撫でた。ギラグの指が掠めるたびに、息子を触った時と同じような、電撃のような痺れがそこに走り、遊馬は腰をびくつかせた。
さらにアリトの息子を擦る手も段々と早くなってくる。全身が気持ち良くて、頭が白く塗られてゆく。
「あぁっ……はぁ、あ、っあ…!」
「白いものが混じり始めてきたな、イクか?」
「いくっ……ああ、あぁっ!あ、いく、いくぅっ…!!」
遊馬の息と声が二人の手の動きに合わせて荒くなる。遊馬は眼を瞑った。アリトは先端を刺激し、ギラグは突起をぎゅっと押し潰した。
次の瞬間、遊馬は断続的に身体が震え、声にならない叫びと共に射精した。
「っは、……はぁ、あ……」
「今の気分はどうだ?遊馬」
紫の体表をしたオッドアイの男が遊馬に問うた。遊馬は射精した後の倦怠感に包まれながらどこか夢見心地に答えた。
「あ……なんか…自分の手じゃない、手が…気持ち良かった…」
「そうだろう。アリトとギラグは身体の性感帯を知り尽くしているからな」
「でも、今はすげぇ、……なんか疲れた…」
「フ……まだまだ、ここからだぞ遊馬」
男手を伸ばし、色の違う眼を紫に光らせた。瞬間、遊馬の心臓がドクリと跳ねた。静かに流れていた血液が速さを増し、全身を勢いよく巡る。身体が熱くなり、興奮した。
……そう、無くなった性欲が身体の奥から沸々と再び沸き上ってきたのだ。
「っ!?何が起きたんだ!?俺っ…また、変な気分に…」
「“リターン・フロム・セイジ”……この効果で、お前は射精後の倦怠感から脱却し、射精したぶん性欲を取り戻す。どうだ、またやりたくなってきただろう?気持ちいいこと、お前にまだまだ教えてやる」
紫の男が黄色い体表の仮面の男に目配せをすると、彼は頷き両手に力を込めた。黄色の光はやがて、一つの形を形成する。見たことも聞いたこともない物体に、遊馬は驚いた。
「な…何だこれ!」
「真のオナホール使い、ミザエル!……遊馬、これはオナホールと言って、数々のオナニストに快感を与えてきた素晴らしい兵器だ」
「おな……?」
「一つ試させてやろう。遊馬、これを使ってみろ」
ミザエルは遊馬に丸い物体を渡した。筒のようなもので、中は空洞になっているらしい。
まじまじと見つめて遊馬は首を傾げる。
「……これ、どうやって使うんだよ?」
「簡単だ。この穴を、お前のペニスに宛がい、包んでやるだけでいい」
簡単ではあるが、未知の物体に身体を預けることはそう簡単なことではなかった。ゴクリと遊馬は喉を鳴らし、いつものかっとビングを胸に念じてオナホールの穴を息子に宛がった。
息子を通した瞬間、ぬるりとして暖かい感触に包まれた。
「う、わっ…!あったけぇ……?」
「これは、口内を再現したオナホールだ。男のロマンと言えば、やはりフェラだろう。それを疑似的にだが、体験できる。それを扱ように上下に動かしてみろ」
ミザエルに言われるまま、遊馬はオナホールを使って上下に息子を扱いた。柔らかい粘膜と心地の良い熱が遊馬の息子を締め付ける。
息子を手で扱く以外に、こんな気持ちのいい行為があったなんて。遊馬は短く息を吐きながら夢中になって扱いた。ジュポ、ジュポ、という空気と粘膜の混ざり合った音が更に興奮を高める。
「あぁっ…!すげぇっ……何これ、すげぇっ!はぁ、あ!」
「フフッ……驚くのは、まだ、早い!」
ミザエルがそう言いながら手を翳し、眼を光らせると使っていたオナホールが収縮し始めた。まるで、精子を絞り、吸い取られるような感覚。初めての快感に遊馬は仰け反り喘いだ。
「あぁっ!あ、あああ!っあ、ぁん!」
「ホラ、手が止まっている。加勢してやるぞ」
「あうっ…!ぅ、ら、らめぇ!チンポっ引っ張られてっ…ひゃあぁあ!」
ミザエルは遊馬の手の上から手を添え、遊馬の息子を扱いた。ビクビクと内股を震わせ、顔を涙と涎で汚しながら、遊馬は耐えがたい快感に悶えた。
そんな彼を見て、唯一の女型である水色の女はほう、とため息を吐いた。
「楽しそうだこと」
「混ざりたそうな顔をしているな、メラグ」
「ええ。無垢な遊馬のアソコ、私の手で可愛がってあげる」
メラグと言われた水色の女は紫の男に微笑んで言うと、ツカツカと遊馬の元へ近寄った。
「はっ……はぁ、あっ…!」
「メラグ、もうするのか?」
「ええ。遊馬ったら、こんな無防備に可愛いお尻晒して」
「おま、え…は…?」
「EDすらも瞬間勃起、絶頂のエネマ、メラグ!ねぇ、遊馬。エネマグラって知ってる?」
「エネ、マ……?」
「男の子にはね、隠された性感帯があるの。この中に、ね…」
メラグは晒された遊馬の白い尻を撫でた。そして、指先でくるくると、アナルをなぞる。遊馬はぎょっとして叫んだ。
「やっ!何してっ……だ!そんなとこ…!」
「あんまり知られてないんだけど……でも遊馬みたいに純粋な男の子はきっと、知ったら病み付きになるかもしれないわね」
つぷりと、アナルをなぞっていた人差し指が中へ入り込む。謎の感覚に遊馬は戸惑った。
「あぁ、あっ…!?」
「ローションが生成されてるから、痛くはないはずよ。ほら、ここ」
メラグは中で指を曲げ、しこりのようなものを押した。途端に、息子を触られたわけじゃないのに、内側から先端を擦られたような、あの電撃のような快感が身体の中を駆け巡った。
「ひゃぁんっ!?な、なんでぇっ…!?あぁあっ!」
「前立腺、ていうのよ。私のエネマの出番ね」
メラグは瞳を紫に光らせ、同時に右手を蒼く光らせた。ミザエルの時と同じように、物体が生成されていく。
しかし、ミザエルが作ったものよりもずっと謎の形をしていた。突起のような部分が、最早凶器に思える。
「いくわよ、遊馬……」
メラグは取っ手を持ちながら、遊馬のアナルに突起を差し込んでゆく。メラグの力でぬるりと難なくそれは遊馬の中に入り込み、ごりごりと中を蹂躙した。
「ぁああっ…そこ、っ……はぁん!っあ、あっ!ごりごり、しちゃあぁっ!」
「気持ちいいでしょ?遊馬。ペニスで感じることがなくなったとしても、前立腺はしっかり感じてくれるの。時にはペニスよりも快感を与えてくれる。まさに、隠された性感帯ってやつね」
ミザエルとメラグに前と後ろ両方を攻められ、遊馬は未知の快感に喘いだ。
止まらない快感と、羞恥心と、自分の身体が開発されていく恐怖でまた涙が零れ、顔を両手で覆う。
「楽しそうにやってるじゃねーか」
窓の外から、新たな声がこのフィールド内に響いた。
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