※地味に紫炎は焼け跡に一つの火種を残すの続き
not女体化ですがドルベに女性器がある仕様


バリアンの身体は欲によって変わる。
 雄の欲望が現れれば男性器に模したものが現れ、それを受け入れたいと女性的欲求が現れれば、女性器を模したものが身体に現れる。

 ナッシュとドルべは昔からそうだった。

 ナッシュが男の猛りを見せれば、ドルべは身体を開く。二つの性器はもともと一つのものだったようにぴったりと繋がり、双方に快感を与える。
 人間の姿だと二人とも男の姿だから繋がるのは難しい。それでも感じやすいドルべだったが、バリアン態のドルべは身も心も女性になってしまったかのように乱れた。

「あぁっ!あっ、はあ…、あぁあん!っひあ、ぁっ、ああっ…きもち、気持ちいいっ!あ…あぁっ!あんっ」

「お前は本当にっ…ん、ここが好きだな…俺が居ない間、淋しがってたんだろうっ…!中がよく、絡み付いてくる、…!」

「あぁっ!すごっ…!あん、激しいっ!んんっ…!ナッシュっ…もっとっ…もっとぉ…!あぁ、あぁん!っは、…は、あっ!」

「くっ!…んんっ…ふ…!ぁ、あ、ドルべ…っ!」

 誰もいない広間の玉座の上で乱れ絡み合う二つの影。ベクターにはそれが何なのかもう推測するまでもなく解った。
 ナッシュがバリアン世界に帰ってきてから、あちこちでベクターは今と同じ光景を見かけた。当人達は隠しているようだが全く隠れていない。他の七皇達が唯鈍いだけだ。

「ドルべ…出すぞっ…!受け止めろっ…」

「はぁっ、あぁ…欲しい…ナッシュっ…出して、私の中にっ…!っあん!ひあああ!」

 ここからは見辛くて表情までは見えなかったが、想像がついた。きっと脳まで犯されちまって溶けきった顔をしているんだろう。
 ベクターはやれやれとため息をついてその場を離れた。

 以前、ナッシュとドルべの関係性を材料として脅し、無理矢理ドルべの身体に自身の欲望を埋め込んだ。
 冷静で理性的な澄まし顔を自分の手で崩れさせていく愉しさはあった。しかし彼は犯されながらも尚目の前の自分ではなくそこにいないナッシュを求めた。
 ベクターにはそれが面白くなかった。

(淫乱のくせによく貞操を保ってますって面ができるモンだぜ)

 なぜ彼を貶めたいのか、なぜドルべなのか…。それには深い理由はない。
 馬鹿正直に人を信じるお人好し程、陥れた時の反応が面白い。絶望におののき、屈辱と悔しさに震える顔は見ていて愉快である。それがバリアン世界ではたまたまドルべだったというだけだ。



「昨日は随分とお楽しみだったようだなァ〜?ドルべちゃ〜ん?」

 ドルべは、今日は珍しくナッシュの元ではなく一人だった。ベクターはすかさず彼に話しかけた。

「何の用だ」

 心当たりはあるだろうに、身体にも表情にも変化を見せない。その辺りは流石だと思う。

「へぇ、はぐらかすのかァ?あんだけ見せつけておいてなぁ。見せつけられてるこっちの身にもなれってんだ」

 なるべく嫌味を込めて神経を逆撫でするように言う。ドルべは初めて感情を顕にしてベクターを睨み付けた。おそらくこれは羞恥と怒気の入り交じった表情だ。

「ナッシュが帰ってきてから盛りすぎじゃねぇのかぁ〜ン?昨日も玉座で、でけぇ声で喘ぎやがって。なぁ淫乱ちゃんよォ」

「黙れベクター。お前には関係ないことだろう」

「事実言って何が悪ィんだよ?よかったなァ?他の七皇が鈍感なヤツばっかでよォ。しっかしよくあれで気づかねーよな、メラグあたりが気づいちまったらどうなるんだろうなァ?それはそれで面白そうだけどな」

 メラグが怒り、ナッシュとドルべを仲良く氷付けにする姿を思い浮かべながらベクターは下卑た笑みを溢した。

「…何が目的だ…」

「決まってンだろォ?…ヤらせろよドルべ。前もヤらせてくれたんだからいいよなァ?」

「っ……何故そうなるっ…!」

 前とは違い、今はバリアン世界にナッシュがいる。
 以前は身体の疼きを鎮めたいというどうしようもない欲望に負け、ベクターの脅しを言い訳にして彼をに身を委ねてしまったが、今ナッシュがいる以上、彼以外に身体を開くということはドルべの貞操観念が許さなかった。

「今更何純情ぶっちゃってんだよ?いいのか?てめーらのことバラすぞ?バリアン七皇のリーダーとその参謀はヤリチンと淫乱ちゃんだってな……フハハハハ、てめぇはナッシュの盾にすら、なれねーんだなァ?」

 光のないドルべの瞳がベクターを昏く睨み付けていたが、自分の中で葛藤した結果諦めたのか、彼は瞳を閉じた。ナッシュという単語を出せば簡単に抵抗をやめる。実に嵌めやすく扱いやすい。
 ベクターはそれを見て、内心ほくそ笑む。

(てめぇがいくら澄ましていようが、どうしようもない淫乱野郎だってことを、てめぇ自身に教えてやるよ)

 俺の暇潰しと遊びに付き合え、とベクターはドルべの耳元で囁き、瞳を光らせた。

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