09


船は無事出航しのんびりした航海を順調に過ごしていた。本を読んだり筋トレしたり家事みたいな事をしてたりする。そんな日々に平和だなぁ、と和む私とは対象的に彼らは暴れたくてウズウズしているみたいだ。

「あー、うぜぇっ。こう体をうごさねぇと鈍る!!」

『喧嘩馬鹿。』

「んだとコラァ、ってか名前。お前俺が船長って事忘れてないよな。んだよその態度は。」

『忘れてないよ。認めてないだけで「上等だぁああ!!」叫ばないでようるさい。』

「おいおい名前。あんまり頭を怒らせんなよ。」

「まぁ、いつもの事だけどな。」

『ドレッド。でも私キッドの下なんて嫌だ。』

「よーし、お前がどんだけ実力あるか勝負しようぜ。いい退屈しのぎに、」

「名前を退屈しのぎにつかうなキッド。」

「げ、キラー。」

『キラーさん。手合わせしましょ、手合わせ。私も鍛えないと鈍っちゃいますから。』

「おい、俺とは手合わせしないくせにキラーとはするとかおかしいだろうが。」

『キッドの場合手合わせじゃなくて本気の殴り合いじゃん。それにキラーさん以外と手合わせしちゃいけないんで。』

「なんだそれ。」

キラーさんが、と言えばキッドがにやにやとキラーさんを見た。キラーさんは腕を組んで明後日の方向を見ている。なんだか言ってはいけなかったか?ドレッドにまずかったかな、という風に見れば苦笑いしている。でもこうやって言わないでどう皆からの誘いを断れというんだ。

「随分と可愛がってるじゃねぇか、なぁキラー。お前が新入りに優しいなんて滅多にないよなァ。」

「可愛い新入りに優しくするのは当然だと思うが。只でさえ男所帯、名前は大変なんだからそれは当たり前だ。」

「へー、随分優しいじゃねぇの。そんなにこいつが気に入ったか。お前の趣味がまさか年下とは予想外だぜ。しかもこんなとは、趣味変わったな。」

『おい、こんなってなんだ。』

「こんなだろ。本当キラーの趣味はわからねぇな。」

「胸が大きければとかやれれば一緒だとか言うお前よりましだと思うがな。」

うわっ、キッドってやっぱ最低!!一回刺されてしまえー。船長ならキッドよりローさんの方が顔だけは整ってるぞ。でもキラーさんってそんなに私を気に入ってくれてるのか。嬉しいような恥ずかしいような。確かに私も懐いている自覚はあるしキラーさんも気にいっている発言はある。それなりに可愛がってもらっているんだろうな。私は嬉しいけどな。

『ふふっ。(キラーさんって可愛いとこもあるし)』

「…多分ああいう所に俺はぐっとくるんだと、最近気がついたんだ。」

「あー、なる程な。まぁ、とりあえず名前、手合わせしてもらえよ。もっと戦える様になった方がいい。」

『了解でーす。じゃあお願いしますキラーさん。』

「あぁ、じゃあ甲板に行くか。キッドはくるなよ。」

「なんでだ。いいじゃねえか暇だし。」

「やろうと思えばやる事なんて山ほどあるんだ。来たら邪魔しそうだからだ。じゃあな。」

ふてくされるキッドをほって甲板に行く。準備体操をしてから血のナイフを何本も作り戦う。だがさすがルーキーの一員。軽々よけあの危ない刃物で襲ってくるわあの長い足で蹴りを出してくるわ、私が血を操る前に攻撃してくるから面倒だ。回る刃物がない分ましだけどきつい。

『はぁはぁ、ちょっと、まじ体力もたなっ。』

「…いや、体力なさすぎじゃないか?まだまだじゃないか。」

『はぁ!?もう限界ですから!!もう、まじでさ、私は動かないで戦う子だしなんかあったら飛んで逃げてたから体力はちょっと。』

「やっぱり筋トレから始めるか。1人ではやってるみたいだが基礎からやるか。だがやはり強いな、基礎の動きはかなりできている。誰かに教わったのか?」

『最初だけ、後は自己流で。私の師匠は命の恩人なんです。』

「…。」

なんだかちょっと殺気というか負のオーラを感じる。気配読むのも少し上達したのだ。なんでいきなり黙り込むんだ。あ、案外子供っぽいんだっけ?でもキラーさんが私を好きな訳ないし気に入ってくれてるってだけでそれは自惚れすぎだ。じっとみていればようやく口を開く。

「一緒に、」

『へ。』

「なぜ一緒に旅をしなかった。命の恩人ならお前を1人で行かせない気がするんだが。」

『…わからないんです。守ってくれて、先に行けと言われて、走って走って、その時はまだ飛び方がうまくなかったんでその後頑張って練習して。だから行方がわからないんです。』

「そうか、すまない。」

『いえ!!私は生きてると信じてますから。私をここまで鍛え上げた師匠がそう簡単に死ぬわけありません。』

「違いない。よく頑張ったな。」

『ふふ、ありがとうございます。』

これからは頼っていいんだぞ、と頭をなでるキラーさんとそれから基礎をやって筋トレをやる。筋肉痛になりそうだと落ち込む私にマッサージをしてくれるキラーさん。こうやるといいと色々なマッサージを教わっているとキッドがきて私の足を触っているキラーさんをみてにやついて近づいてきた。マッサージと言っても下心ありだとか言ってくる始末。そしてそっからキッドとキラーさんのバトルが始まる。平和すぎて2人とも鬱憤たまっているんだろうな。

鍛練からのバトル。
(私放置ですけど)




  
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