08


日をまたいでやった宴もようやく終わった。もう日が昇りいい天気の中宴の片付けをキッドに能力活用とかいって散々付き合わされた。仲間になったのなら遠慮はなしだ、とか言いやがったので今日は本当に破綻させる勢いで買い物をする事にした。一眠りしてお風呂に入って準備をしてからキラーさんとでかける。

「この血は便利だな。物は何キロでも運べるのか?」

『あんまり重いと浮きませんけど、血の量が多ければ多いほど比例して運べます。』

「へぇ、固いな…。武器にもなるんだな。」

『はい。形は自由自在なんでトンファーからナイフ、後血の弾丸をいれた銃なんかも。普通の銃でも使えますし血は集めれば再利用できるんで普通の弾丸は買わなくてOKです。』

「…消費が激しい弾丸がタダとは、船に優しいな。名前が来て助かる。」

キラーさんの周りのオーラがふんわりしているっ。やっぱりこの人おかんだよ。きっと苦労してんだ、と衣類や武器を血に積んで運べない分は手でもつ。一応旅をしていた頃の荷物を拉致る時に一緒に運んでもらっていたので歯磨きや必要最低限の必要品はある。だがあの部屋はなにもない空き部屋なので家具も必要だということで選ぶ。それは店の人が運んでくれるらしいので他へと移動する。

「便利だがその分名前は体力はないみたいだな。」

『まぁ、能力があればあんまり鍛えなくても大丈夫ですし争う事もそんなになかったですから。自分から喧嘩は売らないんで。なにかあれば逃げてたし。今からそうはいきませんねぇ。』

「皆に鍛練つけてたよな?」

『ああ、でもあれは殆ど能力使ってたから。一般人よりは強いし基礎的なとこはできますけど皆さんと体術で勝負したらあっさり負けますよ。』

「…俺でよければ訓練に付き合うが。」

『え、いいですよ。悪いですし組み手ぐらい他の人に頼みます。筋トレとか自分でできるのもあるし。」

「いや、俺がやろう。他の奴と組み手をやるくらいなら、やる。」

『そんな忙しいのに、キラーさん?』

「あ、いや…。名前、とりあえずうちは男所帯だしキッドは酔うとセクハラするし島につけば女の所にいくし喧嘩っぱやいし、いや、キッドの事より、キッドもあれだがとりあえず自分が女だという自覚をもって行動してほしいんだ。」

『は、はぁ。(よく息続くな…。心配、してくれてるんだよね?)』

「そりゃあ俺は見張るつもりだがお前は警戒心がなさすぎで、いいか組み手なんて倒された男の下敷きになるんだぞ。しかもその相手がキッドだったら絶対からかいついでに手を出すに決まっているしな。」

『えっーと、その。つまり私を他の男に触れさせたくないと。』

「…別にそうは言ってない。皆仲間だし。しかし女が入るのは初めてだから浮かれてる奴がいるのは確かだ。だから、その…、笑うな。」

だってだって、キラーさんがそこまで私の心配をしてくれてるとは思わないじゃないか。たまにさらりとたらしみたいな発言をするが。素でやってるのが恐ろしい。天然なのか。昨日とは立場が逆だ。あー、可愛い。

『特訓はキラーさんにしてもらいます。だからお願いしますね。』

「…あぁ。」

『そうですね。私ももうちょっと自覚を持った方がいいかもしれません。』

「違いない。」

『あと、キラーさんは意外とヤキモチやきですね。』

「…そうかもな。名前限定で、」

『っ、あの、キラーさん。』

「言っただろう?名前が気にいったと。」

ぐっと腕を引かれて距離が凄く近い。彼のマスクがおでこにこつりとあたった。反射的に逃げようと思ったが壁に追い込まれる。やべ、壁ドンだ。キラーさんの長い髪が私の首や腕にあたってくすぐったい。キラーさん、と口を開こうとしたが驚きのあまりでなかった。

「…俺がマスクをしてなかったらキスしてた所だ。」

『…は。な、だって、』

「なんてな、からかった仕返しだ。意識しろといっただろ。」

『からかったんですか?』

「身をもって教えたまでだ。ほら、行くぞ。」

『…いじわる。』

「そうか?キッドならここでやってる所だ。俺は優しいさ。」

『殺戮武人が?』

「くくっ、違いない。」

『キッドだったらぶん殴ってるか血のナイフで刺してますよー。…しなかったのはキラーさんだからです。私ちょっと期待してました。』

「…からかうな。」

『ふふっ。仕返しの仕返しです。あ、あれ可愛い!!』

ショウウィンドーに飾られている洋服が可愛いくて走って行く。あ、靴も可愛い。次島につくのはいつかわからないし買おうかな。でもあんまり戦いずらいのは買わない方がいいのか。そもそもあの奇抜なファッションに合わせないとはいったが本当にそれでいいのだろうか。黒を基調とするべきだろうか。白だとローさんの所みたいだし。

「(…仕返し、か。俺は、今…、本当に名前に触れそうになったのに)」

『キラーさーん?行きますよー。』

「あぁ、今行く。買うのか?」

『いえ、やめときます。キラーさん。そろそろ船に戻りましょうか。』

「買いたいものは買えたのか?」

『はい。色々付き合わせちゃってすみませんでした。』

「…名前。よければもうちょっと町を見てもいいか?」

『はい。なにか買いたいものでもあるんですか?付き合いますよ。』

「そうか、ありがとう。ちょっと散歩したいだけだ。ウィンドーショッピングがてらいいものがあったら買うさ。」

『そうですね。』

「『(もう少し、)』」

貴方と歩いていたい。
(同じ気持ちなら嬉しい)




  
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