08
アッシュ達と別れその足でそのままジョーリィーの部屋に向かう。ノックすれば開いている、という声にドアを開ければ変なにおいが鼻についた。顔をしかめる私とは裏腹に彼は楽しそうだ。その手にはあり得ない色のした飲み物が握られている。また変な実験でもしたんだろう。そんな視線に気づいたのか飲むか?とでも言うようにコップを持ち上げる。誰がそんなもの飲むか。歌姫の喉が潰れたらどうするんだ。

『それで用は何。』

「名前。君は私の補佐として右腕としてそんな嫌そうな顔はできないはずだが?この飲み物を飲む事も私の命令となれば拒否はできない立場だ。」

『本当になんであんたがデュエロに勝ってしまったんだか。でも一応人権というものがあるしジョーリィーの下でも拒否権があるでしょ。で、なにそれを飲めって言うの?』

「いや、これは今度のみせしめにでも使うさ。君より反応がいい奴が大勢いるしデータをとりたい奴もいるしな。」

『あのトラ君でしょ。誘ってるんだけどなかなか入ってくれないんだよねー。でも大丈夫。絶対入るってマンマの占いでも出たし私の勘もそう言ってる。』

「どうやらどうしてもいれたいみたいだがあの男になにかあるのかね?私はあのトラ化する体など興味があるところは多いが名前にメリットがあるとは思えないね。ああ、君は年下好きだったか。」

『愛でる分にはね。アッシュが入ったら私の席を譲ろうと思って。アッシュ自身もあの体質をどうにかしたいみたいだしそれならジョーリィーの下で働くのが一番でしょ。』

そしたら私はここからおさらばして元の地位に返り咲く予定でいる。ジョーリィーの下では私を含め私の手下も苦痛で仕方ないし今まで暴れていた私たちにとっては平和すぎて退屈だ。最近はアイドルみたいな事とジョーリィーの変な実験に付き合うしかやってないので色んなところに顔出して手伝っている。だからもう剣の仕事みたいになっているのだ。ということでお嬢様の下に配属願いをだしたら皆に却下された。嫉妬してるのかしら。

『どうして私が剣に入ったら駄目なの。ルカばっかりお嬢様にべったりでずるい。』

「理由は多々あるが君が剣にはいるとお嬢様と名前ということになる。他の所は男所帯なのにという妬み。それから今色んな所に顔を出しているが剣に入ったら他の仕事が増えそれもほぼなくなる。そんなところだろう。お嬢様をとられたなんて嫉妬するのはルカくらいだ。」

『あー、なるほど。とりあえず私は元の仕事に戻れるように掛け合うから。歌姫なんておまけ程度の仕事だったのに今やそれがメインなんて耐えられない。』

「という事はまた外に出る気か?」

『まぁ、いずれはそうかな。デュエロと船の件でみたけどまだノヴァたちの力不足を感じたから鍛練つけてからね。いつもお嬢様の力に頼ってたら可哀想だし。』

「確かにタロッコの力に頼りすぎるのはよくない。あいつがまた倒れた時のために名前の能力は側に置いておきたいが前のように他のタロッコを研究している研究所のデータもほしいのは確かだな。」

『パーパは今のところ大丈夫だけどね。まぁ、あんまり能力の使いすぎには注意だけど。』

「名前がジョーリィーの部屋にいると思えばお前はまたそんな事を言っているのか。もう島の外にでるのは許さないぞ。」

『パーパいつからそこに?まぁ、この部屋に来る人なんて数が知れているけど。能力を使わないで危険な事してなければいいでしょ。』

「それなら諜報部がいるだろう。昔から名前に頼ってきたんだ。もう少し他の者を頼れ。」

『でも諜報部を使うより少人数で私が動いた方が色々なところにいけるしスパイとかそういう知識もあるし効率いいじゃん。別に死に急いでる訳じゃないけどこう退屈だと逃げだしたくなる。』

「そのためにはまずアッシュをファミリーにいれ私の部下にする事だな。それでモンドは何の用だ?」

私に話があるという事でわざわざ探しに来たらしい。ここではあれだから、とパーパの部屋に移動するとマンマまで待機していた。え、なにこれなんの呼び出しですか。最近は能力も使ってないし他のセリエに顔を出したり町で歌ったりして平和に過ごしている。なにかしたか、と思い返すが特に思い当たらない。貴方によ、とマンマから渡されたしっかりした綺麗な紙。開けば男性の写真。これってもしかしてと2人を見れば満面の笑みだ。

「貴方のお見合いが決定しました!」

『ちょいちょいマンマ!そんなの聞いてないですよ。』

「だから今いったんじゃない。お知らせよ。」

『お知らせってより決定事項、事後承諾ですよね。っていうかなんで私なんですか。アルカナデュエロで次の後継ぎ問題になったんだからお嬢様の婿を探した方がいいんじゃないの?』

「あの時は俺の命が短いと知っていたからだ。娘は嫌がっていたが仕方ないと思っての決断。どこぞの歌姫のおげでこの通りぴんぴんしてるし確実に寿命は延びた。だったらフェリチータはもう少し様子を見てもいいかと思ってな。」

「あの子なら自分で相手を見つけるかもしれないしね。まだ若いんだから未来はあるわ。貴方も若いけど年齢的にいったらフェリチータより先だと思ったのよ。昔言ったでしょ。貴方も娘同然だって。」

『寿命をのばした自分が憎い。娘と思ってくれてるのは嬉しいけどありがた迷惑ですよ。私だって自分で相手くらい見つけてやります。それにまだ若いですよ。そんなこと言ったらルカとかパーチェとか寧ろダンテとかにお見合いもっていったらいいじゃないですか。』

「男と女は違うだろ。」

なんだその古い考えは。結婚したら島から出れないでしょ、と笑うマンマ。そういう事か!どんだけ島の外に私を出したくないんだ。そりゃ、楽しかったらまた5年くらい帰ってこないかもしれないけど、悪党がいたら能力使って暴れて島1つ消しちゃうかもしれないけど。それはそれでやりたいのだからいいじゃないか。どうやら皆能力をつかわず危険な事はしないようにと過保護になっているらしい。勘弁してくれと見合い写真を閉じた。



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