(1 / 7)
「静かなとこだねぇ」
汽車を降りてから、何度目かの台詞だった。
見渡せば嫌でも目に入る、緑、緑、緑。
イーストシティやセントラルシティでは絶対に見られない光景だ。
「何回言えば気が済むんだよ。悪かったな、何も無い所で」
「そういう意味じゃないよ。……想像以上にいいところみたいで、嬉しいな」
06.
hometown
故郷の地
丘の上に建つ一軒の家。
その前に、一人の小柄な老婦人が立っていた。
名はピナコ・ロックベル。
彼女がエドワードの馴染みの義肢装具師であり、彼ら兄弟の祖母のような存在だ。
「よう。ピナコばっちゃん、また頼むよ」
エドワードがアームストロングとクライサをピナコに紹介し、彼らはそれぞれ握手を交わす。
クライサとピナコの手が離れた時だった。
「こらー!!エド!!」
大きな怒鳴り声が聞こえたかと思えば、重たいスパナが飛んできた。
その直撃を頭に食らったエドワードは、血を噴き出しながら地面に沈む。
クライサたちは倒れた彼を一瞥すると、怒鳴り声の主へと目を向けた。
「メンテナンスに来る時は、先に電話の一本でも入れるように言ってあるでしょー!!」
二階のベランダでエドワードを見下ろし、更に大声を上げる少女。
長い金髪が動きに合わせて揺れている。
「てめーウィンリィ!殺す気か!!」
起き上がったエドワードの怒声に、彼女は楽しそうに笑った。
「あはは!おかえり!」
|→
[index]
・・・・・・・・