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金髪の彼女の名はウィンリィ。
ピナコの孫であり兄弟の幼馴染み、そしてエドワードの機械鎧の整備師なのだそうだ。
ちなみにエドワードやクライサとは同い年だ。
「あんたちょっと!!あたしが丹精こめて作った最高級機械鎧を、どんな使い方したら壊れるって言うのよ!!」
そんな彼女は、エドワード曰く『機械オタク』なんだそうで。
肩から先がなくなった彼の右腕を見て、悲鳴を上げた。
「で、なに?アルも壊れちゃってるわけ?あんたら、いったいどんな生活してんのよ」
再び頭に工具による打撃を食らって流血しているエドワードの隣で、クライサが苦笑する。
彼女らのやり取りは本当の家族のようで、なんだか羨ましかった。
結局、機械鎧を修理する三日の間、リゼンブールに滞在することになった(腕は一から作り直さなければならないし、足も調整が必要なんだそうだ)。
それは構わないのだが、とりあえず言いたいことと言えば……ヒマ。
ここには図書館も無いそうで、やることも無い。
「ここ暫くハードだったから、たまにはヒマもいいんじゃない?」
家の裏手。
転がるエドワードを挟むようにアルフォンスとクライサが、彼女の隣に犬のデンが寄り添うように座っている。
どうやら懐かれたらしい。
頭を撫でてやる度に、もっととねだるようにすり寄ってくる。
そんなクライサとエドワードは、アルフォンスの言葉に同意出来なかった。
確かに最近は休む間もなかったし、先日の戦いと列車での移動のおかげで疲労もかなりのものだったし、体を休めるにはいい機会かもしれない。
けれど、まあ、何と言うか。
「ヒマなのは性に合わないんだよねぇ…」
「あ、オレも」
「(だろうね…)」
軍で働く普段が普段だからか、ここ二年程は退屈を感じることはほとんど無かった。
一日休みをブン取ることも簡単ではないのだ(主に司令官殿のせいで)。
それが急に、三日間の休み。
そのうえ出来ることも限られているとなっては、以前の忙しい毎日が恋しくなってくる。
「そうだ、そんなにヒマなら、母さんの墓参りに行っといでよ」
「墓参り?」
「でもお前、そんなナリじゃいけないじゃん」
「少佐にかついで行ってもらうのも悪いから、ボクは留守番してるよ」
機械鎧が直れば、どうせすぐ中央に向かうのだ。
それなら、ヒマをもてあましている今のうちに、母の墓参りに行ってこいと、アルフォンスは言う。
「そーだな…」
行って来るか、と体を起こしたエドワードに誘われ、クライサもまた立ち上がった。
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