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クライサとレベッカの、ちょうど中間に落ちる『何か』。
転がるそれの正体を確認しようと、クライサは視線を下方向へ向ける。

「げっ!!」

それは先程83を爆破した、手榴弾のようなものだった。
なんて物を懐に隠し持ってやがるんだ。
素早く錬金術で壁を作り、その裏で身を屈めて爆発に備える。
だが

(……?)

一向に爆音と衝撃が襲ってこない。
恐る恐る壁の向こう側を覗くと、床に転がった手榴弾は元の形のままそこにあり、その上レベッカの姿は無い。
つまり。

(逃げられた……!!)

83を爆破したそれを見ていたから、今この場にある爆弾が本物だと疑わなかった。
くそう、まさかダミーを転がして逃げるとは。

「……ま、これっきり会えないってわけでもなさそうだし…生死が判明しただけでも良しとするか」

ズン

「…………ズン?」

なんだか物凄く嫌な音がした気がする。
揺れたし。

辺りを見回したり天井を見上げたりしていると、ゴゴゴ、といった音が遠くのほうから聞こえてくる。
うーん。
もしかして、もしかすると。

「崩壊する!?ちょ、勘弁してよ!!」

大きく揺れだし崩れ始めた建物に、痛みも忘れて跳ぶように立ち上がった。
崩壊の恐れがあるとは聞いていたが、こんな急にやってくるものなのか?

(細かいこと考えんのは後!)

巻き込まれちゃたまらん。
外に出るべく、駆け出した。








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