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クライサたちを乗せた列車が、イーストシティ駅のホームに到着する。
乗客たちは怪我もなく無事で、将軍一家も(ハクロが多少怪我を負わされてはいるが)ほぼ目立った被害はなく、クライサたち三人も全く怪我などしていなかった。
代わりにというか何というか、ジャック犯たちはほぼ全員クライサによって半殺しにされていたが。

「や。鋼の」

駅のホームに降り立った彼らを待っていたのは、エドワード曰く『なりたくはないけどお世話になっちゃってる人』。
その姿を視界に入れた瞬間に顔を歪めるエドワード、反射的に挨拶をするアルフォンス。そこにクライサの姿は無い。

「……なんだね、その嫌そうな顔は」

「くあ〜、大佐の管轄ならほっときゃ良かった」

よほど会いたくなかった相手なのだろう、少年の機嫌が目に見えて悪くなっている。
エドワードは旅の現状を男に話し、アルフォンスはアルフォンスで男の部下である金髪の女性ーーリザ・ホークアイ中尉と挨拶をしている。

その時、

「うわあ!!」
「貴様……ぐあっ!!」

突然の叫び声が響く。
声のしたほうに目を向けると、先程捕えた犯行グループのリーダー、バルドが立っていた。その左腕は銃の形状をしている機械鎧だ。甲剣に錬成されたエドワードの右腕により、元の半分ほどに切断されたそれからは、血に濡れた仕込みナイフが姿を見せている。
怒りに満ちたバルドは、叫び声を上げながらエドワードに向かって走っていく。

「大佐、お下がりくだ……」

「『これ』でいい」

拳銃を構えようとしたホークアイを笑みのまま制し、大佐、と呼ばれていた軍服の男が右腕を上げた。


ーーーーパキン


白い手袋をした右手の指を弾いた瞬間、散った火花。数秒もかからないうちにそれはバルドの元へと辿り着き、彼の目の前で激しい爆発を起こした。
憲兵たちが驚愕に目を見開く。
地面に倒れ込み取り押さえられた彼の元に、『大佐』は靴音を立てながら歩んでいく。

「手加減しておいた。まだ逆らうというなら、次はケシ炭にするが?」

「ど畜生め……てめぇ何者だ!!」

「ロイ・マスタング。地位は大佐だ。ーーそしてもうひとつ、『焔の錬金術師』だ。覚えておきたまえ」









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