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片やブラッドレイに育てられた、片や彼と斬り結んだ剣士だ。
その二人を相手に、いくら再生能力が高いと言えど優位に立てるわけがなかった。
切られた腕が再生する間、彼ら二人から距離をとったエンヴィーが舌打ちする。

優位に立てるわけがない?
それどころじゃない、圧倒的に不利な状況だ。

「大人しく捕まったらどうだ?人造人間」

剣についた血を払い、笑みを浮かべてリオは言った。
その後ろには、息が上がってすらいないリンの姿。

「ちっ……ニンゲンふぜいが調子に乗りやがって…!!」

「おいおい人造人間?テメェのお仲間を殺したのは誰だよ。ロイ・マスタングだろ?人間ナメてんじゃねぇよ」

身体の一部を変形させては仕掛けてくる攻撃を、リオは容易く防いでいく。
二人がかりなど必要無さそうなほど、一方的な展開だ。
涼しげな顔でエンヴィーを追い詰めていく彼を、リンは戦闘体勢を崩さないまま見つめていた。
思っていた以上に、やる。
手出しは無用のようだ。





二人とも、剣さえ持たせておけば心配はない。
エンヴィーのことは完全に彼らに任せ、こちらはこちらで集中出来る。

(さて、問題はどうやって捕まえるかだな)

落とし穴を錬成したり羽交い締めにしたりと、グラトニーを捕獲すべく走り回るエドワードたちを眺めつつ、クライサは考えに耽っていた。

リンがそうしたように、ワイヤーでぐるぐる巻きにする?
いや、爆弾を持っているわけではないのだ。
グラトニーの肉体をバラバラに吹き飛ばすことは出来ない。
それに今は、頑丈なワイヤーを錬成するための材料が無い。

(それなら手足を凍らせるか?)

しかし相手は人造人間だ。
期待通りの効果は望めない。

「!」

ではどうしたものか、と頭を回転させながら戦闘の動向を見守っていたクライサだったが、流れが悪い方向に向かっていくのを察し駆け出した。
アルフォンスがグラトニーによって投げ飛ばされ、それにエドワードが巻き込まれて茂みに突っ込む。
茂みの向こうにはリンたちがいるのだ。
グラトニーがあちらと接触してしまっては、彼らを引き離した意味が無くなってしまう。
それを避けるべく彼女は動くが、既に遅かった。

「あのバカ…ッ!!」

エンヴィーに跨がるように立ち、彼に剣を振り下ろそうとしていたリオの体が不自然に固まっていた。
彼の視線の先には、クライサの姿。
もちろん彼女が二人いる筈はないので、あちらのクライサはエンヴィーが化けたものだ。

動きを止めてしまったリオの背後に、グラトニーが立つ。
彼は既に、リオに狙いを定めていた。








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