あの人と出会って1週間が経った。あの人が誰なのか、どうしても気になっていた私は島の図書館、新聞で調べた。
でも、調べない方が良かったのかもしれない。数ヶ月前の新聞のページをめくってから、私はしばらく開いた口が塞がらなかった。

「サー・クロコダイル…」

ああ、この人だ。
砂の国アラバスタを乗っ取ろうと企てていた元七武海の海賊、サー・クロコダイル。その計画は麦藁海賊団の手によって阻止され、インペルダウンに収容され、頂上決戦の時に脱獄した。
頂上決戦の件は、この平和な街でもさすがにちょっとした騒ぎになったが、今はもう風化されている。私も一連の流れは知っていたが、

「…うそ、でしょ…?」

1週間前、彼にとった態度を思い返して背中を嫌な汗が流れた。まさかこんな名のある海賊が、この平和な街にいたなんて。…いや、平和だからこそなのかもしれない。




(ああ、どうしよう…)

あの人の正体を知ってから、また数日が経った。私は店のカウンターに肘を立てて、頭を抱えた。
あの人は、「また来る」と言って去っていった。次は殺されるかもされない。それか連れ去られて奴隷にされるかもしれない。そんなことばかりが頭の中を巡ってくらくらした。

店はランチタイムも過ぎ、客もまばらだった。マスターは休憩に行くと行って、少しの間店を空けている。

「名前ちゃん、お勘定!」
「あ、はい!いつもありがとうございます」

声をかけられて、嫌な考えを消した。常連のおじさんと他愛もない話をしながら、お釣りを渡す。ひらひらと手を振るおじさんに手を振り替えしていると、お店から出ていったおじさんとすれ違って、店に入ってきた人がいた。

「……!」

息が一瞬止まった。あの人が来た。黒いコートを肩に羽織って。




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