マジです、本気です、真剣です



「嘘だろ……。嘘だと言ってくれ……。」
「だーかーらー、何度も言っているようにマジです、本気です。嘘ではなく本当です!」
「おかしい……。ぜってーにおかしい……。」


私の目の前で頭を抱え、デスマスク様が項垂れる。
何故、そんな失意のどん底みたいなポーズを?


「何故って……。アレックス、オマエのせいだろうが。」
「え? 私、何かしましたか?」
「何かじゃねぇよ、何かじゃ!」


私がしたのは、精一杯の自己アピールだけ。
今度のデスマスク様の任務。
周囲から怪しまれないために、パートナー同伴でパーティーの席に潜り込み、様子を探るというもの。
年齢的にも、場の雰囲気的にも、黄金聖闘士が任務に当たる事になり、それをデスマスク様が引き受けたのだ。
そうであれば、連れて行くパートナーは私しかいないでしょう!
私以外の誰が、その役割を十分に務められるでしょうか!
という訳で、自分の能力の高さと、デスマスク様への多大なる尊敬の念を、サガ様にアピールしてきました、猛烈に。
で、見事、私がパートナーに選ばれたのです。


「オマエみてぇな変態、パーティー会場で連れ歩いてたら、異常に目立ってしゃあねぇだろが。」
「大勢の目の前で変態を曝すほど馬鹿じゃないですよ、私は。見た目はこの通り地味ですから目立ちませんし、デスマスク様のサポートに徹しますとも。私だって聖域に勤める女官です。仕事は完璧にこなしますよ。」
「ほぅ? その激し過ぎる変態具合を、ちゃんと隠せるってのか?」


項垂れポーズから頭を上げたデスマスク様が、疑わし気な目で私を見遣る。
大丈夫ですよ。
ほら、普段、教皇宮でお仕事をしている時は、至って常識的で、真面目で、普通なんですから。
デスマスク様という存在が、私の理性を狂わせるのです。
なので、巨蟹宮に居る間だけ、暴走して止まらなくなるのです。


「その理屈でいくと、俺の横でマトモに任務が出来るとは思えねぇな。」
「出来ますよ。第三者の目があれば、私は平常心を保てるのです。寧ろ、デスマスク様の方が心配です。」
「は? 俺が? 俺の何処が心配だってンだ、アレックス?」


目立っちゃ駄目だって仰ってますけど、デスマスク様自身が激しく目立つ容貌をしているじゃないですか。
ただただ歩いているだけで、みんなが振り返りますよね、その銀髪と赤い目、白い肌。
そして、モデル以上の見事な体型と、イケメン具合!


「不思議だな。オマエにイケメンって言われても、少しも嬉しくねぇンだが……。変態に言われるのと、美人に言われるのじゃ、大違いって事か。」
「変態も美人も関係ないと思いますけど。どれだけ相手の事が好きか、その想いの度合いによって、心が籠っているのか、いないのか。その違いが出るのだと思いますよ、私は。」
「つー事は、心が籠ってる方が、よりウザい、と。」


どうして、そうなるんですか?!
曲解も良いところです、酷いです!
あ、もしかして、イケメンって言われた事への、照れ隠しですか?
ツンデレですね、流石はデスマスク様!


「いつ、誰が、何処で、デレたンだよ。俺がアレックスにデレるかっての。」
「これからですよ、これから。今夜もたっぷり御奉仕しますから、その時にデレるんでしょう?」
「オマエのは御奉仕じゃなくて、夜這いだろ! つか、女官が御奉仕とか言うな!」


またまた照れちゃって。
照れ隠しで怒った顔も、とっても可愛いですね、デスマスク様。
そんな素敵な貴方には、今夜のみならず、パーティーでの任務が終わった後にも、いっぱいいっぱい御奉仕いたしますわよ!



‐end‐





スミマセン、変態度合いが爆上がりしています(汗)
この人、このままだと益々、図に乗って、半永久的に変態度合いが上がっていきますよ、きっと(大汗)
頑張って、蟹さま、めげずに頑張って……(遠い目)

2021.11.12



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