「ったく、オマエ等。雌猫共は兎も角として、雄猫共まで俺を裸に引ン剥こうとは、どンだけエロいンだよ。」
「雌猫とか雄猫とか関係ありません。そもそもバスタオル一枚で歩いている方が悪いんです。せめて下着だけでも着けていてくだされば良かったのに……。」


朝から見てはいけないものを見てしまった私は、何回目か分からない溜息を吐きつつ、コルネットにジャムを塗り付けた。
一方のデスマスク様は片眉を軽く上げてみせただけで、特に何も言わず、ビスケットをカプチーノにジャバジャバ浸しては、それを口に運んでいる。


「いっそ、マス代かスマ子と結婚したら宜しいのでは?」
「猫とは結婚出来ねぇよ。つか、アレックス。偶然、俺のを見ちまったくらいで、そンな動揺してどうするよ? 初めて見たってワケでもねぇのに。もう何回も見てンじゃねぇか。」


確かにそうですけど!
ベッドの上で見たのと、こんな朝から、あんなハプニングで見てしまったのでは大いに違います、色々と!
こちらの精神衛生的にも、天と地くらいの違いがあります!


「ンじゃ、責任取って、オマエを嫁に貰ってやろうか、アレックス?」
「…………は?」
「見られたのは俺で、見たのはオマエなンだけどな。ま、見せちまった責任って事で。」


いやいやいや、意味が全く分かりませんが。
何がどうなったら、そういう結論になるんですか?
呆然とする私の前で、デスマスク様はジャムとクリームたっぷりのコルネットに嬉しそうに噛り付く。
そして、足元には猫ちゃん達、デスマスク様にはマス代と蟹之介、私のところにはスマ子と蟹五郎が来て、四匹同時に足首スリスリ攻撃を開始した。


「オラ。猫共も祝福してる事だし。」
「こ、これの何処が祝福ですか?! く、擽ったいだけですけど!」
「擽ったくすンなら、俺も大得意だぜ?」


ニヤリ、釣り上がった右の口角に、激しく嫌な予感を覚えた。
バクバク・ゴクゴクと、お皿に残っていたコルネットをオレンジジュースで飲み下し、ニヤリと笑いを深めた、その瞬間。
目にも止まらぬ速さで背後に回ったデスマスク様が、私の身体を抱き上げていた。


「な、何ですか、これは?!」
「何って、嫁入りの儀式? つか、ベッドの上での夫婦の契りだな。」
「し、しなくても良いです! 朝から、そのような事は!」
「イイじゃねぇか、休みなンだし。オラ、猫共も、さっき以上に祝福してンぞ。」
「ミャーン!」


彼の足元にワラワラと群がり鳴き声を上げる猫ちゃん達。
これ、祝福しているというより、ただ面白そうだから飛び掛かっているだけじゃないですか?
抗議はサクッと無視されて、猫ちゃん達を引き連れ寝室に直行する。
はぁ、これは確実に一日中、ベッドに釘付けコースだわ。
そんな予感がヒシヒシとした。



と暮らす日々
猫プレイはしませんよ、絶対!



(ね、猫ちゃん達は来なくても良いです!)
(何で? 一緒の方が楽しいだろ。)
(いやいやいや! 見てなくて良いですから、猫ちゃんは!)



‐end‐





今年も蟹さまの誕生日を祝って!
猫ちゃん達と、夢主さんとラブラブしていただこうかと思いましたよ。
変わらぬ二十三歳、おめでとう御座いました!

2018.06.24



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