今でもアミリは、俺が浮気をしても構わないとキッパリ言い切る。
聖域には女官をはじめ綺麗な女が沢山いるのだから、と。
ただ最終的に自分の元に戻って来る、それさえ変わらなければ、それで良いらしい。


「やはり俺が聞きたい言葉を言わせるには、ベッドに直行するしかないか?」
「え? 何言ってるのよ、カノン。今は、まだお昼。そういう言葉を吐くのは、夜が深まってからにして。」
「お前がいつもいつも、そのように可愛げがないから、強行手段に出なければならんのだ。」
「やだ、本気なの?」


嫌そうな顔で俺を見つめて。
だが、繋いでいる手は決して離さない。
離す気などないのだ、アミリには。
口に出しては言わないが、彼女も俺を愛しているから。


「もう一つ、変わらぬものがあったな……。」
「??」


疑問符を浮かべて俺を見上げるアミリ。
だが、その疑問を解いてやる事はしなかった。
彼女が知る必要はない。
これは俺の心だけで思っていれば良い事。


変わらないもの。
それはアミリ自身と、俺がアミリを想う気持ちと、アミリが俺を想う気持ちと。
その三つだけは、何があっても変わらない。
今までも、そして、これからも。


「さて、宮に帰り着いたし、後はベッドの中で、だな?」
「嘘? やだ、お昼間から発情期? どうしちゃったのよ、カノン。」
「お前の口から聞きたい言葉があるんでね。そのためにはベッドに組み敷くしか方法がない。」
「何よ、それ……。」


双児宮の入口まで辿り着くと、俺は勢い良くアミリを抱え上げた。
昼間でも薄暗い宮内の雰囲気に、俺の理性は突然、抑制が効かなくなったらしい。
俺の身体と身体の中心は、慣れ親しんだ彼女の身体を欲しいと告げている。
アミリの身体を欲し、アミリの心を欲し。
そして、アミリの与えてくれる、たった『一言』を欲していた。



「愛してる。」その一言が聞きたくて



俺の下で揺れる白い背中。
汗ばむ滑らかな肌、上がる息遣い。
乱れた黒髪、感じて震える姿態。
俺しか知らない熱い身体で、俺を深く包み込んで。
頂点を迎える間際の掠れる声が紡ぐ、微かな言葉。
ホンの一瞬のその言葉を、俺は確かに聞き逃さなかった。


「――――、カノン。」



‐end‐





ロス祭り中の筈が、何故か突然にカノンが降臨しました。
何故??
夢主さんはサバっとした女の子で、カノンが大好き。
でも、その男っぽい性格故か、面と向かって挨拶のように「好き。」とは言えても、心を籠めた「愛してる。」は恥ずかしくて言えなかったり。
そんな彼女にカノンも惹かれてどうしようもないという、実はラブラブカップルだったりします。
こういう恋愛も良いかなぁなんて思ったりして書きました。
カノンが偽者臭いのは、目を瞑ってください^^

2008.11.15



- 3/3 -
prev | next

目次頁へ戻る

×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -