広がる視界も頭の中も、目眩でクラクラする。
私はもう、その手だけでも頂点に到達しそうになっていたのに。
意地悪にもアイオリアは、そこで激しい探りの手を止めた。


「こんなにも何もかもが相性良いなど、思いも寄らなかったが。嬉しい誤算だな。」
「は、んっ……。あ……。り、リア……?」


後ろから抱き締めるようにしていた私の身体を、突然、クルリとひっくり返して、圧し掛かるように上から見下ろす。
爛々と光るアイオリアの緑の瞳が綺麗で、私は無意識に彼に向かって手を伸ばしていた。


「アリナー、責任取ってくれるな?」
「んっ……、責任って? ……ふ、んんっ!」


伸ばした手はアイオリアに触れる前に、彼の手によって捉えられ、手の甲にキスをされる。
そのまま上体を下ろした彼に、呼吸も苦しくなるくらいの口付けをされて、何とかついていこうと無我夢中で首に腕を回した、その時。
いつの間にか身体を抱え上げていたアイオリアによって、私の奥深くまで一気に奪われた。


「……アリナーっ!」
「あっあっ! り、リアっ! あ……、ああっ!」


優しさよりも情熱の方が勝って、どうにかなってしまいそうなくらい激しい愛の激流に襲われる。
腕の力はキツく、触れる肌は熱く、内側から湧き上がってくる激情は、それよりも更に熱く。
耳に届くギシギシと窮屈そうなベッドの鳴き声が、聴覚から快感を増幅させて、私はただ彼にしがみ付くしかなかった。


「アリナー、アリナー、アリナー……。」
「あっ、ああ……。あっあっ……、んっ!」


うわ言みたいに繰り返される自分の名前。
アイオリアの声が私の名前を呼ぶ度に、一歩また一歩と、極上の高みへ上っていく。
全身に掛かるアイオリアの重みが更に増して、苦しさから彼の背に回していた腕が解け落ちると、そこからは後は一気に突き進むだけだった。


「アリナー、好きだっ!」
「あっ……! り、リアッ! あっ……、あああっ!」


更なる高みを求めて全力疾走する彼に全てを預け、霞んだ視界には揺れるアイオリアの金の髪だけが映る。
そして、飲み込まれた歓喜の渦に全てを投げ出せば、アイオリアと私、二人だけが知る虹色の世界へと、共に抱き締め合い口付けを交わしながら、吸い込まれていった。


「ずっと好きだった。アリナーの事が……。」
「ん……、私も。アイオ、リア……。」



遠ざかる意識の中に響いた、貴方が囁く甘美なる愛の言葉が



暫くして、目覚めた私の額に優しいキスを贈りながら、彼が言うの。
勿論、その逞しい腕から絶対に逃さないように、強く抱き締めながら。


「アリナー、責任はちゃんと取ってくれるのだろう?」
「え? 今のがそうじゃないの?」
「あれでは足りんな。今まで想っていた日々の分、毎日でもアリナーと愛し合いたい。」
「私の身体、そんなにはもたないわ……。」
「大丈夫だ、直ぐに慣れる。」
「……。」



‐end‐





ニャーくん、お誕生日おめでとう!
という事で、獅子誕夢です。
と言いつつ、誕生日全く関係ないERO話でゴメンナサイ(滝汗)
あぁ、でも、誕生日の贈り物がヒロインさんだったという事で!
にしても、『夜のERO』に続いて、『朝のERO』。
次は昼の……、でしょうかねw

2008.08.16



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