気付けばアイオロス自身も服を脱ぎ捨てて、直に触れ合う素肌と素肌。
背中から伝わる石造りの床の冷たさと、圧し掛かるアイオロスの熱い肌とが、交互に違う快感を伴って押し寄せ、私の中の感覚を狂わせていた。
あまり飲まなかった筈だけど、自分が思っていた以上に酔っていたのかもしれない。
霞む意識の中、いつもより鋭敏な感覚に、あっと言う間にギリギリのところまで導かれてしまう。


アイオロスは巧みだ。
酔いの醒めない彼もまた、あまり長く時間は掛けられないといった様子で次々と手を走らせ、私の身体を味わっている。
それでも焦る素振りさえ見せずに、最小限の愛撫で私の身体を高めていくの。
一分一秒でも早く、この身体を重ね合わせたくて、一つに溶け合いたくて。


「あっ……、やっ!」


それでも、両足を抱え上げられた瞬間、私は大きな声を上げて抗議した。
未だぼやけた意識で霞む視界に、私を組み敷くアイオロスの赤く上気した身体と、熱を帯びたまま見下ろしてくる爛々としたブルーグリーンの瞳が映る。


「背中、冷たい、し……。痛い、の……。」


精一杯の抗議だった。
けれど、アイオロスがココまできて止められる筈がない。
知ってはいたけど、遠慮なく一気に身体の奥へと突き進んでくる彼に対し、私は抗議の意味も籠めた悲鳴に近い声を上げた。


「あ、やぁ! あああああっ!」


すると刹那、フワリと浮ぶ感覚に次いで、クルリと視界が反転する。
「これなら冷たくも痛くもないだろ?」と耳元に聞こえた声にハッとする間もなく、その耳にじっくりと舌を這わせられて、私はゾクリゾクリと奥深くから上ってくる感覚に身体を震わせた。


腰を掴んだ大きな手は容赦なく私の身体を揺り動かし、下からの突き上げは太古の昔から変わらない男女を繋ぐ普遍のリズムを刻む。
深く浅く、強く優しく。
緩急を織り交ぜ、じっくりと、それでいて性急に、気が狂いそうなまでの歓喜を与えてくるアイオロス。


「あっあっあっ……! ん、あっ、あっ!」
「アンディ、もっとだ……。あぁ、良いよ、アンディ。」


薄れた意識では、まともに理性など保っていられなくて、私はココが何処であるかも忘れて、彼の身体の上で揺られながら、奔放に声を上げた。
宮内に反響した自分の嬌声が、霞んだ耳には遠く遠く意識の向こう側に聞こえる。


耐え切れなくて倒れそうになった私の身体を受け止め、自分も起き上がったアイオロスは、向かい合う私の背を支えて、動きを更に力強いものに変えた。
もう何も分からない。
ただ身体の中で激しく動き、溢れて止まない喜びをもたらしてくれるアイオロスにだけ、意識が集中する。


「や、あっあっあっ! あああっ! あ、あっ!」
「くぅっ、アンディ!」


強く抱き締めてくれる彼の身体の熱さに、身体の中心からせり上がってくる甘く大きな波。
二人同時に最高の快楽を求めて、その波へと身を任せれば、直ぐにも訪れる絶頂の瞬間。
内側から溢れ出る喜びに震えが止まらない互いの身体をギュッと抱き締め合えば、長い溜息を伴う甘い余韻が静かな宮内を覆っていった。


そして、ゆっくりと遠ざかっていく意識の中、ニューイヤーを告げる打ち上げ花火の音が、遥か遠く宮の外から聞こえた気がした。



貴方の情熱に流され、ここが何処でも、今が何時でも関係ない気がした



――翌朝。


アテナ様に新年の挨拶をと、アイオロスと二人で教皇宮に向かう途中。
磨羯宮に足を踏み入れた途端、そこかしこに酔い潰れてダウンした黄金聖闘士がゴロゴロと転がっているのを発見した。


デスマスク・アイオリア・ミロ・カノン・サガ。
他にもアルデバランやムウに童虎、シャカまでいる。


「どうしたんだ、これは?」
「どうしたもこうしたもねぇ! お前等のせいで人馬宮が通行不能になってたンじゃねぇか、この色情魔がっ!」
「え? それって、もしかし、て……。」
「あはは、気付かれてたんだ。いやぁ、参った参った。」


参った参ったじゃないでしょう、アイオロス!
私、もう聖域にいられない!
恥ずかしくて、皆の顔、見れないわ!
どうしてくれるのよっ!!



‐end‐





新年一発目は、我が家の(エ)ロスお兄さんのお年玉一発をお送りしてみました^^
如何でしたか、兄さんの年跨ぎ一発は^^
なかなか激しく熱(苦し)い一発でしたでしょう?
こんな感じで、今年もロス熱に任せて(エ)ロスが暴走しますので、どうぞ宜しくお願い致しますw

2010.01.01



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