俺のそんな仕草に対して、少しも驚かずに見上げてくるアナベル。
普段はまん丸な瞳をスッと細めて、幸せそうに微笑む顔が何とも可愛らしい。
彼女が皆に愛され好かれる理由は、ココにあるのだ。
この愛くるしさといったら、抱き締めて離したくなくなる。


「……アナベル。」
「何、アイオロス?」


俺はアナベルを抱き寄せたのとは反対の手に持っていた残りのシフォンケーキを口の中へ放り込むと、それを飲み込むと同時に、身を屈めて彼女の唇にキスをした。
ごくごく軽い、触れるだけのキス。
だが、これがキスだとはっきり分かるように、チュッと音を立てて。


「凄く美味かったよ。クリスマス本番も期待してるから。」
「ありがとう。頑張った甲斐があったわ。……って、アイオロス?」
「ん〜?」
「この手は、何?」


アナベルが差したのは、彼女の服の隙間から内側へと進入していた俺の左手。
服の上から抱き寄せるだけじゃ物足りなくなって、俺は我慢出来ずに手を滑らせていた。
直に触れる肌は温かく滑々していて、先程食べたケーキとはまた違った甘さを、俺の脳に伝える。
空いた右手で一枚、また一枚と彼女の服を剥ぎ取っていけば、そこにはアナベルという名の極上の甘味が姿を現した。


「ちょっと、アイオロス。ダメ、何しようとして――。」
「何って、俺も練習。」
「練習って、何の?」
「そりゃあ決まってる。クリスマスの夜にアナベルに贈る、甘い時間の練習だ。」
「そんな練習、必要ないよぉ。」


抗議するアナベルの唇を、自分の唇で否応なしに塞いだ。
きっとガトーショコラの味見をしていたのだろう、彼女の口内は濃いチョコレートの味がして。
俺の中に残るほろ苦い抹茶の味と混じり合い、何とも微妙な味に変わる。
だが、それも彼女と分かち合える味覚ならば、不思議と不快さは感じられない。
寧ろ、それが余計に感覚を刺激するばかりだ。
そして、俺は纏う物が残り僅かになったアナベルを抱き上げると、高まる思いのままに二人の寝室へと向かった。



重ね合う時間の中、きっともっと好きになる



「練習なんかしなくたって、アイオロスってば、いつも十分甘いのに……。」
「いつもと同じでは足りないだろう? 折角のクリスマスだ。もっと甘美で濃厚で芳醇で、最高に満たされるものじゃなきゃな。」
「クドいよ。キツいし、辛い……。」
「ん? 何か言ったか?」
「いえ、何も……。」


まだ何か言いたげなアナベルの唇に、再び深い深い口付けを。
彼女の白い身体に染み込んでいた甘い香りに誘われた俺の心は、重なり合う時を求めて、ゆっくりと沈んでいった。



‐end‐





歌音さん六万打キリリクのロス夢でした。
恋人な(エ)ロス兄さんとの甘い夢w
それにしても、ロスはお腹空いていた筈なのに、しかも早く休むとか言ってたのに、食欲や睡眠欲よりソッチ優先なんですね。
流石(エ)ロス兄さんです^^

2008.12.20



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