「アイオロスは、星矢クンに何をプレゼントしたの?」
「筋トレのスケジュール管理セットだ。アイツは目を離すと直ぐにサボろうとするって、前にアイオリアがボヤいてたからな。それにプロテインの徳用缶を一つと……。」
「分かった、もう良いわ。」


放っておくと得意の筋トレについて延々と語り出しそうな雰囲気を察し、アンディはやんわりと言葉の続きを制止した。
何だ、つまらんと言いつつ、ベッドの上をゴロンと転がる酔っ払いのアイオロスを横目に、アンディは自分が受け取った緑色の包みを手に取る。


それは瞬と交換したプレゼント。
中身は、ふんわり柔らかな素材の暖かそうなマフラーが二枚、男物と女物が一枚ずつセットになったもの。
自分の交換相手が瞬クンで良かった、とても素敵なセンスをしているもの、そうアンディは心の中で思う。
自分だけじゃなく、アイオロスの事まで考えてくれるなんて。
受け取った包みを開いて、中を見た時には、本当に嬉しかった。


「ほら、アイオロス。」
「ん? マフラー? 誰からだ?」
「瞬クンからのプレゼントよ。貴方と私、お揃いなの。」
「あぁ、ふわふわで暖かいな。」


ベッドに横向きで寝転がるアイオロスの背後から、アンディはその逞しい首にフワリとマフラーを掛けた。
心地良く酔っているアイオロスは、その柔らかな感触に瞼を閉じ、頬をスリスリと擦り寄せている。
まるで犬のようだわ。
大きくて甘えん坊のワンちゃん。
そんな事を思いながら、彼の横に跪いていたアンディは、普段の癖からか、無意識に手を伸ばして、その金茶の巻髪に触れようとした。


その時――。


「っ?! アイオロスッ?!」
「まさか、アンディ。俺が寝てしまったとでも思ったのか?」
「だって酔っ払っていたし、気持ち良さそうに目を閉じていたし……。」
「まだアンディからのクリスマスプレゼントを貰ってない。それまで眠れやしないさ。」


髪に触れた手を掴まれたと思ったら、一気に腕の中へと引き込まれて。
そのまま、あっという間にベッドの上に組み敷かれていた。
何がどうなって身体を反転されたのか、それすらも分からない程の素早さで。


「プレゼントなら、ちゃんと用意はしてあるけど……。」


いつもならアンディに負担を掛けないよう、上に乗っても体重を逸らしてくれるアイオロスだが、強かに酔っている今は、その気遣いすら忘れているようだった。
ズッシリと圧し掛かってくる身体は、彼女がどれだけ押し戻そうとしてもビクともしない。
それどころか、余計に身体を擦り付けて、柔らかなベッドへと沈み掛かってくる。


この状況で考えられる事は一つ。
「今夜のプレゼントはお前だ。」と言って、このまま事に及んでくるだろう。
しかも、これだけ酔っていたなら、いつもの手加減などは皆無に違いない。
これでは何をどうしても逃げられないのでは?
眼前いっぱいに広がるアイオロスの笑顔を見上げるアンディの額に、冷汗が伝い落ちる。





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