「デス様、すみません。起こしてしまいましたか?」
「こう見えて、俺も聖闘士だからな。気配に自然と目が覚めちまうンだよ。気にすンな。」


部屋へと戻って来たアリアが、ギシッと悲鳴を上げるベッドの上に乗ると同時に、強く引き寄せた。
彼女が抵抗どころか瞬きすら出来ぬ間に、熱いキスで唇を塞ぐ。
今でも、まだどことなく初々しさを残したままのアリアの、躊躇いがちに開かれた唇の隙間から、絡め取るようにキスを深めた。
深く深く、何度も何度も、俺が満足するまで、息が苦しくなるまで。


「……んっ。」
「冷てぇ唇だな。キスってのは、もっと熱いモンじゃねぇのか?」
「それは仕方ないです。今、キッチンでお水を飲んできたところだったので。」
「それを早く言えよ。」
「その隙を与えてくれなかったのは、何処のどなたです?」


ツンと澄ました顔は、昼間、仕事中にみせる女官の顔。
だが、ここは俺の宮のベッドルーム。
しかも、まだ真夜中。
俺に見せる顔は、そっちの顔じゃねぇ筈だろ?


「なら、口内だけとは言わず、オマエの全身、体内まで蕩けるぐらい熱くしてやる。今直ぐな。」
「えっ? あ、あの、デスマスク様? これ以上は、無理なんです、けど……。」
「アリアが煽ったんだろうが。今更、ストップなんて無理だ、無理。」


腕の中の柔らかな身体は、言ってる言葉とは裏腹にすんなりとベッドの上へと倒れ込む。
暗闇の中に浮かび上がる白い肌、ジッと俺を見上げてくる潤んだ瞳。
毎日、毎晩、アリアのこの姿に心乱されて、何度も何度も泳ぎ続ける、果てない欲望の海を。


「ほら、足開けよ。」
「やっ。そんなの、嫌、です……。」
「オマエのために、この部屋で煙草吸うの止めてやったんだぜ? ちょっとくらいは俺の思うようにさせてくれたってイイじゃねぇか? ほら、早く開けよ、足。で、俺にしっかりと見せろ。オマエの全部を。」
「い・や・で・す! デス様の変態! えっち! すけべ!」
「オマエな……。今更、それを言うか。」


あの日、アリアと気が狂う程の愛を交わした、あの眩しい夏の日。
疲れ果てて眠るアリアを俺のベッドに残し、教皇宮まで駆けていった俺が取った行動には、自分でも驚くしかなくて。
呆然とする女官長やら官吏達の前で「アリアは今日から俺んトコで貰うから。」と宣言し、一応、巨蟹宮の女官にするという形で囲っちまったワケだが……。


「んっ。あ、ああ……。」
「なぁ、アリア。俺みたいなヤツが、オマエの生活、奪っちまって良かったのか?」
「は、あっ、ん……。ば、バカぁ。こんな時に、んっ……。聞か、ないで……、あっ、くだ、さい……。」


慣れた動作でアリアの身体へとゆっくり沈み込みながら、思わず聞いてしまった、そんな事を。
キュッと顰めた顔は俺の言葉へ対してか、それとも迫りくる歓喜の波によるものか。
だが、強く首に回された腕で引き寄せられた頬に、じっくりと押し付けられた唇の感触。
返事など聞かなくても良かった、その表情と、その仕草だけで。



溺れた愛は錯覚じゃない



「……デス様。」
「ん〜?」
「後悔するくらいなら、こんなに情熱的に抱かないで下さい。今更、引き返せませんから……。」
「何、アリア? 今の、そンなに良かったのか?」
「ば、バカっ……。」


情事後の一幕。
愛しい女を、この腕に強く抱き締めて。



‐end‐





スミマセン、無性に蟹さまのEROが書きたくなった勢いで書いたら、こんなモノが生み出されてしまいました(汗)
そして、「足、開けよ。」って台詞を、是非、蟹さまに言わせたかっただけです。
ゴメンなさい、変態です、スミマセン(滝汗)

2009.10.12



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