「コラコラ、暴れないでください、お二人共。」


バスタオルで包んだ二匹の猫ちゃんを抱え、リビングへと戻る。
あらかじめ用意しておいたドライヤーの横、床に広げて敷いたタオルの上に降ろしてやると、案の定、早速とばかりに部屋の中を駆け出そうとするシュラ様。
それを慌てて押さえ付けて阻止すると、私は上から被せたタオルで、そのしなやかな身体をゴシゴシと拭った。


「身体が乾くまで走り回っちゃ駄目です。部屋の中が濡れてしまいますでしょ。」
「ミャン。」


身体を拭われる事が擽ったいのか、タオルの中でモゾモゾと身を捩らせるシュラ様と、それをタオルに包まったまま黙って見ているアイオリア様。
毛足の短いシュラ様は直ぐに拭い終わったが、クリクリでモコモコな毛に覆われているアイオリア様は、全身がビッショリと濡れ、拭うだけでも大変な作業だ。


「アイオリア様、ちょっとだけ待っていてくださいね。先にシュラ様を終わらせてしまいますから。」
「ミィ。」
「ミャ?」


ドライヤーの温度を低めに設定して、シュラ様の身体に向ける。
温風が当たる部分の毛を、手で掻き撫でながら乾かしていけば、シュラ様は目を細めて、されるが儘だ。
そう言えば、シュラ様はドライヤーで髪を乾かしてもらうのが好きだったっけ。
とても心地良さげな表情を見るに、そのままウトウトと寝てしてしまいそうな様子。


「はい、終わりました。ちゃんと乾きましたよ。」
「ミャッ。」


ドライヤーの風を止め、座っていたシュラ様を抱き上げる。
乾かした直後の身体はフカッと柔らかくて温かく、そして、艶々感が更に増していて、うっとりするくらいの触り心地。
思わずスリスリと頬擦りしてしまう私。
勿論、その艶々な全身を撫で擦りながら。


「ふふっ。艶々で気持ち良い〜。」
「ミャ、ミャン。」
「ずっとスリスリしていたい。」
「ミャーン。」


おっと、でも、こうしてシュラ様の触り心地に浸っている場合ではないのだったわ。
このまま放っておいたら、アイオリア様が風邪を引いてしまう。


「はい、シュラ様は終了。次はアイオリア様の番。」
「ミャッ?!」


腕の中から降ろすと同時に、抗議の声を上げるシュラ様。
ミャーミャーと鳴きながら腰の辺りに縋って甘えてくる姿は、破壊的に可愛らしいのだけど。
でも、このままアイオリア様を放置しておく訳にはいかないもの。
可哀想だけどシュラ様の事は、そのままスルーして、手にしたドライヤーをアイオリア様に向けた。


「ミィィ。」
「これは、かなり手強そうですね。」


短い毛足のシュラ様と違い、アイオリア様の身体はモコモコの毛に覆われている。
それがビッショリと全身、濡れているのだから、乾くまでに時間が掛かりそうだ。
ドライヤーで温風を送りながら手で掻き回して水分を飛ばし、ブラシを使って軽く梳く。
アイオリア様が抵抗もせずに大人しく座っていてくれるお陰で、私としても根気強く作業が出来た。


「凄い、フワッフワになってきた……。」


先程まででも十分にフワモコだったアイオリア様だが、綺麗に洗った今は、クリクリの猫毛が、より一層、フワッフワになっている。
うん、兎に角、触りたい。
触り捲って、撫で捲りたい。


「可愛い〜。アイオリア様、フワフワになりましたね〜。」
「ミ、ミィ。」
「ミャッ。」


座ったままのアイオリア様の頭や身体を撫で回していると、それが気になったのか、シュラ様まで直ぐ横に移動してきて。
しなやかな前足を伸ばして、アイオリア様の頭をポムポムと触っている様子が、見ていて微笑ましくなった。





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