可愛い猫ちゃん二匹に両サイドからキスされるとか、私、幸せ過ぎです。
シュラ様もアイオリア様も、何て愛おしいの。
思わず私の方から頬擦りすれば、目を細めてミャッミャッと戯れてくるのが、また更に可愛くて悶絶してしまう。
もう猫化ウイルスがどうのとか、どうでも良いので、ずっとこの猫ちゃん達とキャッキャウフフしていたいです、私。


「いい加減にしろよ、アンヌ。バカか、オマエは。暢気に猫とじゃれ付いてる場合じゃねぇっつーの。行くぞ、オラ。」
「は、はい。すみません……。」
「ったく。ソイツ等、どンなに可愛く見えても、中身はアレな男共だぞ。見た目に騙されンな。」
「分かっています。でも、元のゴツいシュラ様とアイオリア様、それと今の愛らしい猫ちゃん姿のギャップがあればこそ、余計に可愛く思えるんじゃないですか。」
「へーへー。言ってろ、言ってろ。」


私はシュラ様達と戯れるのを止め、立ち上がった。
それまで、私と向かい合わせになるように抱っこしていたのを、後ろ向きになるようにして抱き変える。
目の前には、艶々黒毛のシュラ様と、ふわふわ金茶のアイオリア様の小さな頭が揺れていて、また胸がキュンキュンと……。
ううっ、後ろ頭まで可愛いなんて、罪な猫ちゃん達。
やっぱり我慢なんて出来ないわ。


――かぷっ。


「ミ、ミャッ?!」


私は我慢出来ずに、ついついシュラ様の耳を軽く食んだ。
予想外の刺激に吃驚したのか、ビクリと身体を震わせ変な鳴き声を上げたシュラ様が、首だけ振り返って私を見る。
いや、だって、シュラ様の小さな頭から背へと続くシュッと細い首のラインとか、後ろ姿が可愛過ぎるからいけないのです。
ピンと尖って立ち上がる耳は、私に食んでくれって言っているようにしか見えないもの。


それにしてもシュラ様、耳、敏感だったのですね。
それとも、私がいきなり耳を齧ったから、吃驚して妙な声が出ただけ?


――かぷっ。


「ミィッ?」
「アイオリア様は平気みたいですねぇ。」
「何やってンだ、オマエ等……。」
「いえ、シュラ様の耳が予想外に敏感みたいなので、つい。」


――かぷっ。


「ミ、ミニャッ?!」
「あ、また変な鳴き声。本当に敏感なのですね、耳。」
「ミャ、ミャ。」


食まれた耳を、擽ったそうに前足で引っ掻く仕草。
アイオリア様が平気だったという事は、耳が敏感になったのは猫化の影響ではなく、元々のシュラ様自身、耳が弱点なのかもしれない。
うん、彼が元の姿に戻ったら、一度、試してみよう。


「アホな事やってねぇで行くぞ。」
「はい、すみません……。」
「ミャッ。」
「ミィッ。」


猫ちゃん達を抱っこした私を、デスマスク様が躊躇いもなく抱き上げる。
シュラ様とアイオリア様は、それに反発してか、ちょっとだけ腕の中で暴れたけれど。
デスマスク様が部屋を出、宮の外へと出て、十二宮の階段を駆け上がり始めると、直ぐに大人しくなった。
私もまた、あまりの凄まじいスピードに自分自身は勿論、彼等が振り落とされないよう強く抱き締める。
兎に角、その事に必死だった。



→第3話へ続く


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