「シャー!」
「はいはい、大人しくしていてくださいね。」
「シャー!」
「大丈夫、痛くないですよ〜。」


途中で逃げ出したりしないようにと、念のためデスマスク様にシッカリと抱っこされている黒猫ちゃん。
その小さな頭を安心させるように撫で撫でして上げると、少しは気が楽になったのか、シュラ様はスッと目を細めた。


デスマスク様によって私の方へグイッと差し出された右手、もとい右の前足。
艶々の黒い短毛に覆われた前足は、シュッと細くしなやか。
その前足を上から下へと数回、撫で擦ると、シュラ様の気が変わらない内に、プチプチと爪切りを始めた。


パチンッ、パチンッ。


「ほら、痛くないでしょう?」
「ミャー。」
「イイ御身分だな、オマエ。女官のみならず、黄金聖闘士様の手ぇまで借りるたぁ、贅沢過ぎンだろ。」
「ミャー。」
「はい。全部、終わりましたよ。」


前足、後ろ足、四本の足の爪を切り終えて、またシュラ様の右の前足を手に取り、撫で撫でと擦る私。
シュラ様の毛並みは素晴らしく艶々で、どれだけ撫でていても飽きない。
寧ろ、ずっと触っていたい程に気持ちが良い。
そして……。


ぷにっ。


「ミミャッ?!」
「シュラ様の肉球、可愛いですねぇ。こうしてジックリ見るのは初めてですが。」
「ミャー!」


ぷにぷにぷにぷに。
デスマスク様に捕まっていて逃げられないのを良い事に、ココぞとばかりに肉球を触り捲る。
シュラ様は身を捩って手を引き抜こうとするが、滅多にない肉球触りたい放題のこのチャンス。
逃しません、離しませんよ、絶対に。


「オイ、アンヌ。相当、嫌がってンぞ、コイツ。」
「ミミャー!」
「構いません。だって、シュラ様の肉球を触れるチャンスなんて、もうないかもしれないんですよ。」
「ミャー!」
「デスマスク様も、ぷにぷにしてみたらどうですか? ぷにぷに。」
「俺が触ったら、もっと大暴れすンだろ。」


と言いつつ、私が触っているのとは反対の前足を掴んで、肉球ぷにぷにを始めるデスマスク様。
益々、激しく身を捩り、悶え捲る黒猫ちゃん。
でも、この可愛過ぎる肉球が悪いんです。
こんなチャーミングなアイテム、目の前に突き出されていたら、どうしてぷにぷにと触らずにいられようか。
いや、絶対に触ります、触らない訳にはいかないですよ。


「ミギャギャギャ!」
「本当、可愛いですね、シュラ様。この肉球のぷにぷに加減が、特に。」
「シュラー、もっと触らせろー。」
「ミギャー!」


その後、数分間に渡ってシュラ様の肉球を愛で捲った私達。
グッタリと伸びた黒猫ちゃんを見下ろし、結果的に、爪切りよりも過酷な虐待を繰り広げてしまったと気付き、ちょっと遣り過ぎてしまったと反省したのだった。



と暮らす日々
爪切りでにゃんにゃんパニック!



(なンつーか……。クセになるな、肉球ぷにぷに。)
(でしょう? 触りたくなりますよね!)
(ミギャッ! ミギャー!)



‐end‐





黒猫山羊さまの肉球をぷにぷにし捲りたいという欲求から書き上げましたw
夢主さんは、猫化が解けた後にガッツリと報復されると思います、ベッドの上でw

2018.07.15〜07.17



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