もぞもぞ、うずうず……。
腕の中、落ち着かない様子で小刻みに動くシュラ様は、今にも飛び降りてしまいそうだ。
見れば、デスマスク様に抱っこされているアイオリア様も同じような状態。
上半身が前のめりになり、このままじゃ落っこちてしまうわ。


「わわっ。そんなに身を乗り出したら、落ちてしまいますよ、シュラ様。」
「オマエもだ、アイオリア。」
「ミミャッ。」
「ミミッ。」
「ほらよ。待たせたな。出来たぞー。」


二つ並べて床に置いた三角の筒の上部をポンポンと叩き、ミロ様が立ち上がった。
それを合図に猫ちゃん達を床に離すと、二匹共に三角筒を目掛けて、一目散に走り出す。


ダダダダ、ズササササッ!


クリーム色の筒にシュラ様、焦げ茶色の筒にアイオリア様。
ヘッドスライディングかと思う程に勢い良く、床を滑って突っ込んでいった。


「ミミャー。」
「ミミー。」
「おー、随分と御満悦だなぁ。何はともあれ、気に入ってもらえたようだし。うっかり衝動買いしちゃったけど、結果良しだな。」
「オマエ、衝動買いしたのかよ、ンなモン。」
「良いじゃん。猫共は幸せそうにしてんだからさ。」


そう言われた猫ちゃん達は、筒の中でポカポカぬくぬく。
心地良いもこもこに包まれて、すっかり目を細めて、今や半寝状態。
本当に幸せそうですね。
シュラ様もアイオリア様も、もうこの中から出て来る事はなさそうですよ。


「何と言うのか……、ロールケーキ見たいですよね、猫ちゃん達のこの姿。」
「ぁあ? ケーキだぁ? コイツ等の何処が?」
「見た目ですよ。あと色も。可愛らしい猫ちゃんの頭が飾りに付いたロールケーキみたいじゃないですか。そっくりですよ。猫ロールです、猫ロール。」
「猫ロール、ねぇ……。」


クリーム色のもこもこは、プレーンのスポンジケーキそっくり。
その中に包まれている黒猫のシュラ様は、まるでチョコレートクリームみたい。
そして、焦げ茶色のもこもこは、チョコレートのスポンジケーキで、金茶色の毛をしたアイオリア様は、まるでキャラメルクリームのようだ。


「オマエね、アンヌ。食う気かよ、コイツ等を。」
「例えですよ、例え。似ているって言っているだけです。でも、食べちゃいたいくらいに可愛いですよね。」
「ミミャー、ミャミャミャ。」


猫ちゃんロールの前にしゃがみ込んで、ピョコリと筒からはみ出た小さな頭を撫で撫でして上げると、ミミャミミャと何かを訴え掛けてくる。
何ですか、何が言いたいんですか?


「オマエに食われるより、俺が食う方が良いって言ってンぞ、ソイツ。」
「……何でしょう。デスマスク様やシュラ様がそういう事を言うと、非常に厭らしい意味に聞こえるんですが。」
「厭らしいも何も、スケベな意味で言ってンだから当然だろ。」


折角、ほのぼのしていたのに、急にアダルティーな雰囲気になってますけど!
可愛らしさは何処に消えました?!


「そういう話題は止めとけよ。アイオリアが困り顔になってるし。」
「ミー。」
「あああ、スミマセン、アイオリア様。苦情ならシュラ様に言ってくださいね。」
「ミミャッ!」


怒りの声を上げてますけど、シュラ様。
今はロールケーキ状態ですからね。
そこから出て来ない限り、全く迫力ないですよ。


「オマエもな、アイオリア。その格好で何言ったって説得力ねぇぞ。」
「ミミッ!」
「ミミャミャ!」


ズリズリと少しだけ前に動いてはいるが、筒の中から出てくる気配はない。
これは、この寒さが治まるまで、いや、冬が終わるまで、この猫ちゃん達は猫ロールのままなのかもしれないですね。



真冬のニャン!
いつまで続くか猫ロール!



‐end‐





寒がりニャンコ可愛いですw
寒さで猫団子になっている黄金ズ猫がいたら、そこにダイブしてスリスリなでなでし捲りたいですw

2018.02.22〜03.01



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