6.束の間の休息



あっという間に、静かになってしまった部屋の中。
ミロ様が残っているとはいえ、人の数が減るだけで、こんなに寂しくなるものなんですね。
いえ、取り分け騒々しかった人達ですから、余計にそう感じてしまうのかもしれませんけれど。


「う〜ん……、これはアレだな。」
「アレ?」
「俺だけココに残っているのはマズいだろうって話。」
「どうしてです?」


手持ち無沙汰になっていた私は、横で眠るシュラ様のお腹をワシワシと撫でながら、顔をミロ様の方へと向けた。
ただでさえ寒々としてしまったのに、ミロ様まで戻ってしまわれるとか、本当に寂し過ぎます。


「幾らコイツ等が居るといってもなぁ……。他人が見れば、シュラの宮で俺とアンヌが二人きりで過ごしている状態に見えるだろ?」
「まぁ、確かに。今のシュラ様とアイオリア様は、猫ちゃんの姿ですからねぇ。二人で猫ちゃんと遊んでいると言ったところで、誤解を受けかねないですよね。」
「だろー。」


これがデスマスク様ならば、二人きりになろうが、二人で仲良く話をしてようが、二人で出掛けようが、何も言われないし、何も思われないのですけれど。
普段、滅多に一緒に居る事がない者同士が、珍しく共にいると、それだけで怪しまれて、変な噂を立てられてしまうのは良くある話でもある。


「ミロ様と私だと、珍しい組み合わせだと言われてもおかしくないですね。」
「だろー。」


そう言ってミロ様は、先程から足の爪先でチョイチョイと突っ付いていたアイオリア様を、半ば強制的に腕の中へと抱き上げた。
脇腹を突っ付かれたところで起きもしなかったアイオリア様だが、これには流石に吃驚したようで、バチッと目を覚ます。
嫌だ嫌だと身を捩って多少の抵抗はしてみたものの、ミロ様にガッチリ捉えられていては脱出も不可能で、結局、そのまま大人しく腕の中に収まってしまった。


「でも、アンヌ一人で、コイツ等の面倒を見るのは大変だろうから、アイオリアは俺が獅子宮で面倒見るよ。どうせ今日は休みだし。」
「そんな……、申し訳ないです。ミロ様の手をお借りするだなんて。」
「別にアンヌが面倒見なきゃならないって決められてる訳じゃないだろ。結果的に押し付けられてるだけで。それに、前回より一匹、猫の数が増えてるんだから、手分けはした方が良いと思うけど。」


確かに、一匹ずつだとそれなりなのに、不思議と二匹が揃うと何を仕出かすか分からないシュラ様とアイオリア様の面倒を、一度に見るのは大変だ。
そこに、本物の猫であるカプリコちゃんまで加わるとなると、手が回らなくなるだろう事は目に見えている。
前回は、ほぼデスマスク様も付きっきりで手助けしてくださった事もあり、何とか乗り切れたが、今回はどうだと問われると、う〜ん……。


「な? 俺に任せとけって。」
「でも……。」
「アイオリアは根が真面目だから、シュラよりは手が掛からないだろ? そっちの猫も大人しそうだし。」
「シュラ様も真面目ですよ。生真面目過ぎるくらいに。」
「シュラは、性格は真面目でも、ほら……。天然さが勝って、傍若無人なトコがあるからさ……。」


大丈夫です、ミロ様、そこは言い淀まなくても。
確かに、その通り、まさに仰る通りです。
人の目など気にせず、思った事を、思ったままに、真っ直ぐに行動に移す、それがシュラ様。
根本的に真面目で何に対しても真剣なので、その行動を否定出来ないのが何よりも厄介なのだけれど……。





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