沙織:「ここからは少し趣向を変えましょう。三十一問目です。初恋の相手を教えてください。」
山羊:「初恋か……。正直、覚えてもいないし、印象もない。多分、飛鳥に出逢うまで恋などした事はなかったのだろう。」
飛鳥:「私はね、小学校一年生の時。上級生のお兄さんで、いつもお祖父ちゃんのお店に、おかきを買いに来てたわ。」


沙織:「三十二問目、今の相手以外の人と付き合ったことはありますか?」
山羊:「付き合った相手か……。」
飛鳥:「う〜ん……。」
沙織:「あら、おりませんの?」
山羊:「俺は……、数人いた。全て相手の方から付き合ってくれと言ってきて、嫌いではない相手とは付き合った。だが、その全員が『もう無理。』と言って、俺の元から去っていった。」
飛鳥:「シュラは釣った魚には餌を上げないから。皆、不安になって、耐えられなくなって、逃げ出しちゃうのよね。」
山羊:「そういうお前は、飛鳥?」
飛鳥:「私は高校生の時に一人、製菓学校生の時に一人。どちらも長続きしなかったけど……。」


沙織:「お二人共、恋愛には不向きだったようですわね。では三十三問目です。付き合っている事を周りの友人・知人は知っていますか?」
山羊:「知っているも何も、聖域では周知の事実だ。」
飛鳥:「磨羯宮で、一緒に住んでるものね。」


沙織:「次にいきましょう。三十四問目、付き合う事を誰かに反対されたりしましたか?」
山羊:「反対はされなかったが、説得を始めた最初の内は、渋い顔をされた。飛鳥の祖父母にな。」
飛鳥:「そりゃあ、いきなり強面のスペイン人が『自分の住まう土地に連れて行く。』なんて言い出したら、誰でも渋い顔になると思うよ。」


沙織:「次の質問は、私も大変興味があります。三十五問目ですわ。恋のライバルはいますか?」
山羊:「ライバル……。いないと言いたいところだが、現実を見るとな……。アフロディーテやらミロやら黄金内にも飛鳥を狙っている者が多数いるから頭が痛い。」
飛鳥:「ディーテはお兄さんみたいで相談にも乗ってくれる人だし、ミロは仲良しの友人よ。」
山羊:「そう思っているのは、飛鳥の方だけだ。」
沙織:「飛鳥さんは、どうですか?」
飛鳥:「シュラは放っておいてもモテるから、心配は心配かな。バレンタインには山盛りのチョコレートを貰ってきたしね。」
山羊:「あれは俺が甘党だと知った上での義理だろう。」
飛鳥:「義理じゃないでしょ。ディーテが、私のチョコはこんなに多くなかったって、プンスカしてたもの。」


沙織:「では、三十六問目です。付き合い始めてからの日々を振り返ってみてください。」
山羊:「振り返るとなると、一時間・二時間では済まないぞ。それこそ朝から晩までの時間を掛けて、語り尽くさねばならん。」
飛鳥:「別にサラッと当たり障りのない感じで纏めれば……。」
山羊:「纏められるか。飛鳥とのアレやコレやソレや、そんな大事な思い出の数々の、何処をどう割愛しろというのだ。」


沙織:「三十七問目、気になる質問が続きますわね。付き合い始めてから、相手の事で初めて知った事はありますか?」
山羊:「殆どの事が、そうだろう。出逢って直ぐに付き合い出したから当然だが。」
飛鳥:「シュラが意外と嫉妬深いとか、シュラが意外と我が儘とか、シュラが他人の前では冷たい態度を取るとかね。」
山羊:「だから、それを言うな……。」


沙織:「三十八問目は前の質問と似ています。付き合い始めてから、二人の間で変わったなぁと思う事はありますか?」
山羊:「最初は、それこそ探り探りの生活だったが、今では互いに安定しているというか、何事も上手く遣り繰り出来ていると思う。」
飛鳥:「そうだねぇ。私も最初は何から何までお世話になっている身だからと遠慮しちゃってたんだけど、今はシュラとの話し合いもあって、お互いを尊重し合いながら生活出来ているように思うわ。ただ、人前でのシュラの冷たい態度だけは変わらないんだけど。」
山羊:「頼む、もう言わないでくれ……。」


沙織:「では、三十九問目です。これも興味深い質問ですわね。相手に言えない秘密は、どれくらい持っていますか?」
山羊:「一つもないな。飛鳥には全てを話している。」
飛鳥:「私だって何もないわ。」


沙織:「さぁ、次は四十問目です。相手の秘密について、知りたいと思いますか?」
山羊:「秘密はないと言ってくれたが、あったとしても、飛鳥が言いたくない事ならば、無理に聞き出したいとは思わん。」
飛鳥:「シュラに秘密があったとしたら、とても大きな秘密か、危険なものかの、どちらかのような気がする。だから、正直、知るのは怖いかな。」
沙織:「ふふ、信頼し合っているのですね、お二人は。」





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