petit fourカップルさんに100の質問



山羊:「アテナ。我々二人に大事な用事とは何ですか?」
飛鳥:「わざわざ教皇宮まで呼び出しをするだなんて、何かあったんですか?」
沙織:「今日はお二人に百個の質問にお答えいただきたいと思ったのです。それでお呼びしたのですが、問題はないですよね。」


山羊:「……は?」
飛鳥:「質問? 何のための?」
沙織:「今、グラード財団の傘下企業で、カップル向けの商品や企画を色々と練っているところなのです。それで是非、ラブラブなお二人に御協力を、と思いまして。」


山羊:「…………。」
飛鳥:「ラブラブって言う程じゃないと思うけれど。シュラは人前じゃ、こんな状態ですし。」
沙織:「ですが、十二宮内には、お二人の他にカップルはおりません。御協力をお願い出来る方が他にいれば別ですけれど。」
飛鳥:「沙織さんが、そう言うのなら仕方ないかなぁ。シュラがこんな感じだけど、大丈夫ですか?」
沙織:「えぇ、問題ありませんわ。私の事は空気か何かだと思ってくだされば。では、始めましょう。畏まらずに、率直にお答えくださいね。」
飛鳥:「はいはい、分かりましたよ。」
山羊:「…………。」


沙織:「では、まず一問目。お名前と意気込みをどうぞ。」
山羊:「シュラだ。しかし、意気込みも何も……。」
飛鳥:「飛鳥です。他ならぬ沙織さんの頼み、頑張って答えようと思います。ね、シュラ?」
山羊:「あ、あぁ……。」


沙織:「二問目です。相手のことを、どう呼び合っていますか?」
山羊:「普通に飛鳥だな。」
飛鳥:「私もシュラです。」


沙織:「それでは三問目。二人きりの時しか使わない呼び方はありますか?」
山羊:「ないな。常に飛鳥と呼んでいる。」
飛鳥:「う〜ん、私もシュラだけど……。時々、からかうように『山羊さん』って呼ぶ事はあるかな。あと、着物を着た時だけ『旦那様』って呼んでる。」
沙織:「あら? ハニーとか、ダーリンとか、言ったりはしないんですか?」
山羊:「しない! 絶対にしない!」
飛鳥:「シュラ、そんなに顔を真っ赤にして力説しないで良いよ。逆に、そう呼んでいるんじゃないかって疑われるよ。」
山羊:「くっ……。」


沙織:「四問目ですわ。相手のどんなところが好きですか?」
山羊:「そ、それは……。」
飛鳥:「私は、私の作るスイーツを世界中の誰よりも美味しそうに食べてくれるところ。それから、真剣に修練している時の格好良さ。あと、料理をしている姿も素敵だし……。挙げるとキリがないなぁ。」
山羊:「やはり菓子作りに対しての全力の姿勢だろうか。妥協をしない、自分を甘やかさない、その真面目さに惚れたともいえる。後は、小動物のように可愛らしいところだな。」
沙織:「小動物ですか?」
山羊:「ちょこまかとしていて、リスかハムスターを見ているようで癒される。」
飛鳥:「それって、余り褒められている気がしないんですけど、シュラ。」


沙織:「五問目は少し難題かもしれませんわ。相手の事を、どれくらい好きか、具体的に例を挙げて答えてください。」
山羊:「具体例か。やはり飛鳥の抱いていた『パリで有名なパティシエになる』という夢を諦めさせてでも、この聖域に連れ帰り、共に暮らしたいと思った事だろう。後にも先にも、そんな我が儘な事を思った相手はいないからな。」
飛鳥:「しかも、それが出逢ってから一日も経ってないスピードだったんだもの。私の意思はそっちのけで、後に退けない方向にドンドン話を進めちゃうし。あの時のシュラは驚く程に強引だったよね。」
山羊:「すまない。だが、どうしても考えたくなかったのだ。あのまま何もなく終わる事だけは。」


沙織:「では六問目です。相手に不満を感じることはありますか?」
山羊:「俺はない。飛鳥の全てに満足している。」
飛鳥:「私はあるよ。もっと人前で恋人らしい態度を取ってくれても良いのにって、常々思っているもの。」
山羊:「そ、それは……。」


沙織:「七問目ですわ。理想の恋人像と貴方の相手を比べてみてください。」
飛鳥:「人前でのスキンシップが足りない、恋人らしさが足りない。」
山羊:「だから、それは……。」
飛鳥:「シュラは? 理想の恋人像と私の違い。」
山羊:「そうだな……。キッチンに籠って集中すると、俺を放置するのが、ちょっとな。まず一番に俺の事を構ってくれるのが理想だ。」
飛鳥:「そうは言っても、ねぇ。甘い物がなくなると、シュラ、不機嫌になるし。」
山羊:「まぁ、そうだな。」


沙織:「八問目になりましたわ。二人の共通点はどんなところですか? また面白いぐらい違うところは?」
山羊:「共通点か、何だろうな? やはりスイーツが好きという事だろうか。」
飛鳥:「シュラは食べる方、私は作る方、だけどね。違うところは、これといって思い浮かばないかな。」
山羊:「アルコールに弱いくらいだろうな。飛鳥は直ぐに酔っ払って寝てしまう。」
飛鳥:「確かに、そうかも。」


沙織:「九問目です。二人の相性は良いと思いますか?」
山羊:「当然だ。良くなければ一緒に住むなど無理な話だからな。」
飛鳥:「良いと思うよ。私の作るお菓子、あれだけ沢山、食べてくれる人は滅多にいないと思うし。」


沙織:「次は十問目です。二人の仲を一言で説明してください。」
山羊:「一言……。やはりスイーツのような仲だと言うべきか。」
飛鳥:「でも、甘々と言うには、シュラは人前で冷た過ぎると思うんだけどな。スイーツな関係になるには、他人の視線があろうとなかろうと、もっとイチャイチャ出来なきゃね。」
山羊:「イチャイチャ……。無理だろ……。」
沙織:「シュラには高過ぎるハードルですわね。」





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