「買うのは彼女の下着ではない。お前のだ、アンヌ。」
「えっ?! わ、私のですか?!」


どうして私の下着を買わなきゃいけないんですか?!
しかも、シュラ様と一緒に、お店まで行くだなんて!
大体、今の手持ちで十分に足りているし、新しいものなど買う必要なんて一切ないのに。


「前にそういう話になってただろ、忘れたのか? 次回の買物の際は、お前が身に着けるセクシーな下着を一緒に選びに行くと。」
「せ、セクシーな下着……。」


そ、そう言えば、そんな話もあったような、なかったような。
あの話は冗談かと思っていたのに。
いや、シュラ様はかなり真顔で本気だったから、直ぐに忘れてくれる事を祈って、冗談だと思い込もうとしていただけなのだけれど。
でも、忘れるどころか、しっかりと覚えていたんだわ、シュラ様。


「予想していた通り、お前の下着は地味で質素だったからな。あれでは全く面白くない。」
「し、下着に面白いも、面白くないもないかと思います、けど……。」


そうだわ。
昨夜、私は『あんな状態』だったから、シュラ様に女官服を脱がされて、下着姿で眠ったんだった。
白い色の質素な下着は、真っ白な女官服から透けないためのもの。
そして、胸元だけに僅かなレースが施されているブラスリップは、流れるドレープで胸元の開きが大きい女官服から、レース部分だけが飾りのように見えるからと着ていたものだ。
あの女官服を着用している限り、派手な下着なんて身に着けようがない。


「日常ではアレで仕方ないとしても、夜には俺好みの下着を着けるくらいはして欲しいと言った筈だ。」
「いや、でも、それは、その……。」


確かにシュラ様はそんな話をしていたけれども、私はそれを承諾した覚えはない。
それどころか、そんな格好をしてしまえば、ギリギリ抑えられているシュラ様の我慢が、一気に限界を迎えてしまう可能性が高くなるというもの。
そんな危険があると分かっていて、セクシーランジェリー姿でシュラ様と添い寝なんて、間違っても出来る訳がない。


「兎に角、今は駄目でも、後々、必ず必要になってくる。その時のために下着は買っておかなければならん。」
「後々……、ですか?」
「俺は近い将来だと思っている。アンヌとそういう関係になるのは。」


近い将来?
シュラ様と本当の恋人になれる日が、ちゃんと来るのだろうか?
心も身体も繋がり合って、同じ喜びを二人で分かち合える関係になれるの、本当に?


スッと伸ばされたシュラ様の手が、私の右頬を軽く滑った。
指先で頬を撫でられた感触に、ピクリと身体が軽く反応をして、思わず彼を見上げる。
顔を上げた瞬間、落ちてきた彼の唇に、私の唇はしっかりと塞がれて、有無を言わせぬ濃厚な口付けに絡め取られていた。



→第8話に続く


- 13/13 -
prev | next

目次頁へ戻る

×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -