「……アンヌ、アンヌ。」
「は、はい……。」
「今にも寝落ちそうだぞ。大丈夫か?」


シュラ様に軽く肩を揺すられ、ハッと意識が戻った。
だが、それも束の間、直ぐに元のふわふわした状態に戻ってしまう。
どうやら一度この感覚に捉われると、暫くは元の状態に戻らなくなってしまうようだ。
何かと話し掛けてくるシュラ様の声も何処か遠くに聞こえ、身体は未だ軽い痺れに包まれている。


あぁ、駄目……。
とても今は起き上がれる気力が戻りそうにない……。


「もう寝てしまった方が良いようだな。このままベッドに運ぶぞ。」
「あ、で、でも……。」


一応、抵抗の言葉だけは零してみるものの、トロリと骨まで蕩けている身体では押し返す力も出ない。
私は無気力なままシュラ様に抱え上げられ、頭を彼の大きな胸板に預けた状態で横抱きにされた。
ドックン、ドックンと力強く打つ心音が、甘い痺れを纏う身体に響き、それがまた何とも心地良くて。
更なる陶酔に陥りながらうっとりと目を閉じると、間もなく、シュラ様の寝室へと辿り着き、そっとベッドに降ろされた。


「あ、あの……、シャワーを浴びてないのですが……。」
「そんな状態でシャワーなど使えるのか? 気にせず、今夜はそのまま寝ろ。」
「なら、せめて洗顔だけでもしたいのですが……。」
「仕方ない。」


彼に腰を支えられて、部屋に備え付けられた洗面台へと向かう。
シュラ様のお部屋には勿論、クレンジングオイルなどないので、石鹸だけで簡単に顔を洗った。


「済んだか?」
「は、はい……。」
「なら、もう良いな?」


返事をする前に抱え上げられ、再びベッドの上に投げ出される。
だが、何をされても心地良い痺れが全身を支配している私には、抵抗どころか、起き上がる気力すら湧かなかった。
もし今、シュラ様に襲われたら、私には阻む力もない。
しかも、ここは彼のベッドの上。
なのに、「このままじゃいけない。」と頭の片隅で少しだけ思いはすれど、身体は全然、反応してくれない上に、このままそうなってしまっても良いとさえ思い始めている自分。


そんな私の心境に気付いてか、シュラ様が無防備に横たわる私の女官服に手を掛けた。
パチンと小さな音を立てて外される肩留め。
次いで、スルリと腰帯も外される。
私が何の抵抗もしないのを良い事に、真っ白な女官服を肩から胸、腰、そして足へと下げていって、そのまま脱がせてしまったシュラ様。
私はブラスリップだけの無防備な姿を、見下ろす彼の視界の中に晒していた。





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