闇のリズム的にゃんぱにな新騒動45
2021/09/06 01:44
あ、そうだ。
確か、この辺りに……。
「何やってンだ、アンヌ?」
「探し物です。確か、ココに仕舞った筈なのですが……。あ、ありました。」
シュラ様とアイオリア様が猫化した時のための、様々なグッズを纏めて入れているカラーボックスを漁り、その中から真新しい箱を取り出した。
先日、カミュ様が持ってきてくださった猫ちゃん用の玩具だ。
次に猫化した際に試してみようと思って、大事に仕舞っておいたもの。
「なンつーか……、お掃除ロボットみてぇな形だな。」
「この側面に猫じゃらしを取り付けて使うみたいですよ。猫じゃらしが自動でクルクル回転して、その動きに興味を持った猫ちゃんが勝手にじゃれ付いて遊ぶ、といった猫ちゃんの一人遊びマシーンらしいです。」
カミュ様は、私がお掃除やお料理など、家事仕事で手が離せない時の役に立てればと言っていた。
デスマスク様の助けも得られず、一人で忙しい時間に、シュラ様とアイオリア様が、この玩具で勝手に遊んでいてくれるなら、これほど助かるものはない。
「どれどれ……。お、回った。」
「結構、激しく回りますね。」
「つか、オイ。これって……。」
くるん、ペシンッ。
くるん、ペシンッ。
くるん、ペシンッ……。
「全く反応しませんね、アイオリア様。」
「反応どころか、完全に固まってるだろ。」
「置物? 置物ですか、猫ちゃんの?」
「置物っつーか、仏像みてぇな?」
玩具がクルンと回り出した途端、ピシッと固まって動かなくなったアイオリア様は、まるで猫ちゃんのぬいぐるみか置物のよう。
一回転した猫じゃらしがモフモフの身体に当たっても、身動ぎ一つしないで硬直してる。
一定間隔でペシンペシンと猫じゃらしが当たっているけど、まるで感じていないかの様子。
「未知の玩具が怖ぇのかね?」
「アイオリア様が玩具を怖がるとは思えませんが。」
それに怖がっているなら逃げれば良いだけの事。
元が黄金聖闘士なのだから、攻撃したって良い。
なのに、固まったまま動かないというのは、恐怖心とは違う筈。
「止めるぞ。」
「あ、はい。どうぞ。」
デスマスク様がスイッチを止め、猫じゃらしの回転が止まったと同時、ビクッと跳ねたモフ猫ちゃんの身体。
パシパシと大きく瞬きをしてから、ブルブルと身体を震わせた。
「ミー。」
「お、動いた。」
「ミー、ミミー。」
「何ですか? そんなに嫌だったんですか、この玩具?」
アイオリア様は堰を切ったようにミーミーと鳴き声を上げている。
抗議の声だろうか。
玩具を使うのではなく、ちゃんと自分の手で遊んでくれ、と。
「カミュの親切心も、有難迷惑になっちまったな。なンでまた、こンなモン買ったンだか。」
「日本に行った時に、ペットショップで氷河くん達に勧められたそうですよ。」
「なるほど。なら、嬉々として買ったに違いねぇな。」
呆れた声で言い放ち、ミーミーと鳴き止まないモフ猫ちゃんを、デスマスク様が抱き上げる。
しかし、今度ばかりは大人しく抱っこされる気になれないアイオリア様は、バタバタと手足をくねらせて暴れ、その腕の中から颯爽と脱出した。
(つづく)