闇のリズム的にゃんぱにな新騒動37
2020/09/05 01:23

「そろそろ満足したか、アンヌ?」
「あ、はい。良い写真が沢山、撮れました。」
「じゃ、俺はこの仔猫共を煙草屋のオッサンのトコロに連れてくわ。」


え、こんな早くに?
もっと、この可愛い仔猫ちゃん達を眺めていられると思っていたのに。


「善は急げってな。煙草屋のオヤジに里親を探してもらうにしても、早い方がイイだろ。」
「そうですか……、そうですよね……。」


仔猫ちゃん達が連れていかれてしまうのかと思うと、胸の中で、急速に膨らむ名残惜しさ。
段ボール箱の中を覗き込み、スヤスヤと眠り続ける仔猫ちゃん達を、そっと指先で撫でる。
すると、いつの間にか私の横に座っていたアイオリア様が段ボール箱の中に首を突っ込み、仔猫ちゃん達を順番にペロペロと舐め始めた。
どうやら名残惜しさを感じているのは、モフ猫ちゃんも一緒らしい。
一方で、全く興味を感じていない黒猫ちゃんは、ソファーの上でクッションと戯れている。


「ミロ。オマエも一緒に行くぞ。」
「え、俺も? 何で?」
「何で、じゃねぇよ。オマエがソイツ等を連れて来たンだろうが。責任持って最後まで面倒見ろ。」


呆れた目で睨むデスマスク様と、渋々といった様子で重い腰を上げるミロ様。
まぁ、ミロ様も一緒に行くのは当然ですよね。
でも、ココが私一人になるのは、ちょっと心配ではあります。
シュラ様とアイオリア様が大暴れし出すと、私では止められませんので。


「それなら心配いらねぇよ。今、一人、コッチに向かってるし。」
「あ、ホントだ。もう、そこまで来てる。」
「……え?」


デスマスク様が親指を向けたドアの方へと振り返る。
それと、ほぼ同時。
遠くでガチャリとドアの開く音がした。
あれは、このプライベートな私室の入口のドアだ。
次いで、カツカツと廊下を進んでくる足音。


――ガチャッ!


「お邪魔しますよ、シュラ。」
「あ、ムウ様……。」
「あぁ、やはり。シュラは猫になっていましたか。」


リビングのドアを開いて部屋の中に入ってきたのは、何とムウ様だった。
シュラ様とアイオリア様の猫化を察していたらしく、黒猫ちゃんとモフ猫ちゃんの姿を見て、大きく肩を竦める。
それから、床に置いてある段ボール箱に気付いて、大きく目を見開いた。


「どうしたのですか、その仔猫達は?」
「あぁ、これさぁ……。」


ミロ様が事情を説明している間、私はムウ様をソファーへと誘導し、慌ててキッチンへと向かった。
カップの乗ったトレーを手にリビングに戻った頃には、説明も粗方終わったようで、ムウ様は渋い表情をして、横に座る黒猫姿のシュラ様を見下ろしていた。


「つー事で、暫くココで留守番をしてくれると助かる。」
「それは構いませんが、余り長くは居られませんよ。」
「大丈夫。一時間程度だから。な、デスマスク?」
「いや、一時間も掛かンねぇだろ。三十分もありゃ十分。」
「……分かりました。」


留守番、というよりは、彼等の監視をすれば良いのでしょう?
そう言いつつ、シュラ様の小さな頭を撫でたムウ様に対し、豪快に頷くミロ様と、苦笑いを浮かべるデスマスク様。
私が申し訳なさそうに頭を下げると、ムウ様は「貴女が謝る事ではありません。」と、微笑んでみせた。


(つづく)


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