何だかこの光景を、茉樹はよく知っているような気がした。
斗織のそばに、誰かがいる。
知っているような気がするだけだろうか。よく分からないまま、茉樹は燐に視線を戻す。
「丹那は死んでいる。まずそこだ」
少し考えるような素振りを見せ、燐は続ける。
「死んだ丹那がいるここは、この世界は、もしかして死後の世界」
「死後の………」
でも、そこまで茉樹は驚かなかった。
丹那のこともあるが、薄々と感づいていたのが1つ。
もう1つ、別にここがどこであろうと、茉樹にとってはどうでもよかった。
自分はここにいたい。ここ以外にはいたくない。
そんな強い思いがある。
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