少しだけ近くなった気がする柱を目指して、茉樹たちは歩く。
歩くたびにザッという音がするのは、砂利の上でも歩いているのだろうか。
下を見る。自分の足の下にはまだ暗闇が広がっている。
埃のような白いものが舞った。
「………どう思う」
となりを歩いていた燐が、小声で言った。
「どうって」
「丹那の母親のことだよ」
柱に行けば会える。
丹那は、そう言っていた。
けれど丹那はもう死んでいて、両親も死んでいる。
「会えるって………どういう意味か、ってこと?」
うしろを歩いている丹那を見た。
となりにいる斗織と、仲良さそうに話している。
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