丹那は今何と会話しているのか。
3人には、丹那以外の声は聞こえなかった。
目の前には母親。
まさか、死んだ母親と会話しているとでも言うのか。
丹那は立ち上がる。
いつの間にか、リビングは元通りになっていて。
血の臭いも消え。部屋も片付き。
死体も警官も、全て消えていた。
そこにあるのは、無。
家の外と変わらない、青い空間だった。
「行こう」
涙をぬぐって、丹那は言った。
「あそこに行けば、お父さんとお母さんに会える」
「え………」
「な、何言って………」
以前の彼女とはどこか違う、そんな印象を与える瞳。
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