背中のくぼみ
ケニーの前髪を、持ち上げた。ももも、と何かを言っているようだけど、よく分からない。さらさらの金髪からまっしろなおでこが覗いていた。

「私ね、怖いの。ケニーがふと何処か遠くへ言ってしまいそうで」
「もも、…」
「うん、分かってるよ、分かってるんだけどね。でもいつか本当に、ケニーが、戻ってこなくなったら、わたし、どうしたらいい…?」

ケニーはびっくりしていた。ただ黙って、フードからぶら下がる紐をくるくると弄んでいる。
私は泣いてなどいなかった。ただ眉間に皺をよせて、ギリッと歯をならすだけ。

「夢をみたの。ケニーが空へ行ってしまう夢。ケニーには天使の羽が付いているけれど、私には付いていないから、ケニーと一緒にはいけない。私、死ぬのが怖いんじゃないのよ?ただ、ケニーが一緒じゃなくなるのがいや、寂しいよ。カイルやカートマンやスタンだけじゃ、楽しくても、寂しいの。ねえ、ケニーの背中がみたい」

ケニーは何も言わずにフードをとって、上着を脱いだ。ケニーが私に背中を向けて、ケニーの白い背中が。

「良かった、羽生えてない」
「もももっ」
「そうだね、当たり前だよね…」

くるりとケニーが振り返って私を見た。ケニーの目が細められて、口元もにぃとつり上がる。ケニーの手が、私の腰をそっと引き寄せた。

「ケニー…?」

ぼすんとベッドに埋められて、私の肩にケニーが顔をすり寄せてきた。ケニーの柔らかい髪の毛がふわふわ当たって、くすぐったい。
やがてケニーの唇が私の肩に、鎖骨に、首に、押し付けられて、最後に耳にちゅうと吸い付いた。

「ももも、?」そういうと、私の返事を聞く間もなく、ケニーの手が私のお腹を滑っていた。

「えっち、」

ももっ。
ケニーが満足そうに笑っていた。
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