強者と戦う強い意思


男女別の大浴場、広いし気持ちいいし、ほんとこの家っていうか豪邸?にこんな俺なんかが住んでて大丈夫かよと思うほど。は、いつものことで。風呂上りの俺は逆上せた頭を覚ますべくリビングへと向かった。と、そこに珍しいやつが…

「お。めずらしいな、夢主家主が此処にいるなんて」
『私だってリビングに居る時あるわ、馬鹿スタス』
「んだと!?」
『あ、大声出すなよ?ルフィ今寝てるから』
「…あ?」

ノートパソコンの画面を見ながら何かしている夢主家主の膝にルフィが寝て…っ!?
羨ましいぞこのやろう!

「ちぃ…っと、まt『黙ろうか』…はい」

ルフィとその兄貴たちは此処に来る前から夢主家主と仲が良かったらしい。しかもルフィのやつが夢主家主にべた惚れ?で、夢主家主もルフィに極甘らしい。初めて此処に来たとき聞いてみたら…

『は?馬鹿か?』
「んん?付き合ってるって誰がだ?」

なーんて、返してきたから二人とも恋愛対象ではないようだが…。

『……ふふ』
「むにゃ‥」

だーかーらぁー!そんな甘い雰囲気出すなよぉー!
俺だって夢主家主のこと狙t…ごほん、取り乱した。

話し外れたが、ノートパソコンの中を覗いてみた。
これは…、

「…図面?」
『おうよ、この家の図面な』

2階と3階もあるぞ、と見せてきた。

「なんでまた…」
『お前たちの部屋は改装してあるし、引っ越しなんてしたら金掛かるからやらないけど…空いてる部屋ないかな〜って』
「んん?つまり、どういうことだ?」
『簡単に言うと新しい入居者募集しますってことだ』
「へぇ〜…え、ま、また増えんのか此処?」
『増えるよ、私が何のためルフィたちと遊ぶのを我慢して部屋に引き籠ってデイトレして金貯めたと思ってんだよ』
「本音漏れたぞ…」
『…まぁ奥の二人部屋がひとつと、一人部屋が三つ…ああ、女の子だったら2階使ってもいいな』

と、画面内で3D化した家の図面と平面上の図面を見比べる。
こういうことするときは早いんだよな。
アナログ、実物で勝負するときは俺が勝つけど、デジタルは負ける気がする…

『ってことでー、キッド』
「あん?」
『君の知り合いで学校近くて独り暮らしもいいけど、シェアしてもいいって言う子いたら、よろしく!』
「なげぇな、おい」

いい笑顔で指立てられた。

「‥…う、ん」
『お』
「あ?」
「夢主家主〜?おわったか…?」
『あーそうだな…募集項目は明日にでも出来るからな。終わったよルフィ』
「んー…じゃあ、風呂入ろうぜ…」
『ああ、待たせたな』

タイミングよく起き出したルフィが目をこすりながら夢主家主に問いかける。それにパソコンを閉じて頷き準備をする…ん!?

「……おいこら」
『なんだ?』

今にも寝そうなルフィを抱きかかえながら夢主家主は首を傾げる。

「…ルフィと…風呂?」
『ああ、一緒に入る約束が、これをしていて長引いてしまってな。待ってると言って聞かなかったから』
「ルフィ…?」
「んー?キッドか…?なんだ?」

目を擦りながら俺を見るがその瞳ははっきりしていた。

「悪い…夢主家主、先行っててくれ」
『? わかった、先行ってる』

パソコンも片付けにいかなければならないだろう、と階段を登る足音が後から聞こえてきた。リビングに残された俺とルフィ。先に口を開いたのはルフィで…

「、夢主家主は絶対渡さない」
「…っ!」

そいつの顔はいつものルフィじゃなくて、黒い、男の顔をしていた。そしてすぐさま、人懐っこい笑顔に戻ればリビングを飛び出し夢主家主を呼んだ。

「夢主家主ー!早くー!!」

『こら、ほかの人達寝てるんだから静かにしろ!』

「しししっ、夢主家主も大声だぞー」


二人の足音が遠ざかれば、どっと疲れが出てきた。
あいつ…あんな顔出来たのかよ…。つか、兄貴たちは知ってんのか…?疑問は尽きないが、あれはルフィの宣戦布告といっても過言ではないだろう。

ちぃーっとやっかいな相手だがな…。



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