はじまりの日常


朝、学生らはこれが日常と言っていいほど賑わいを見せる。
大学、高校と近場なこの場所は彼らにとって都合がいい。
共にしている仲間たちとあいさつをして皆、ゆっくりと家を出る。

「いってきまーす!」
「こらっ、ルフィ!!弁当忘れてんぞ!」
「あ、いっけね」


「きぃーつけていけよー」
「おう!フランキーまたなー」

この家でただ一人の高校生を見送ると次は大学生組である。


「じゃあ、俺らも出るか」
「…そうだな」
「あ、先にコンビニで弁当買ってもいいか?」
「おま、サンジから昼飯作ってもらったんだろ」
「それだけじゃ足りねェよ」
「はぁ‥お前らの食費で手一杯なのにさ‥今度相談してみよっかな」
「なっ、反則だぞサボ!!」

肩をすくめて溜息を吐く相手に続き、未だ抗議を続ける彼をリーゼント大男が見送る。



「ガキどもは行ったみてぇだな、…あとはアイツだけか‥」

ふいと視線を向けた先は二階のひとつだけ開いている窓で、あとは中にいるやつがなんとかしてくれるだろうと己も自分の仕事場へと足を向けた。




所変わって二階、黒髪の女性が階段を登ってきた所だ。
と、一つの扉の前に立ち止まる。
ドアをノックした後、その部屋主に告げる。

「夢主家主、大暴落したのね…?」

すると…。

『っぎゃあああああああ!!…はっ…あっぶねぇ〜!へ、変な起こし方しないで、よ…びっくりした…』

ドア越しに震えた声で部屋主が答えた。

「だって貴女、こうでもしないと起きないじゃない」
『ロビン悪気無いな?くそぅ…』
「いい加減起きなさい、ルフィ達もう学校に行ったわ」
『ももぅ、そんな時間?…ううん、オキルヨー』
「…夢主家主?」
『起きますから変な夢見させないで…』

部屋の中からいくつものパソコンが動く音に続き、がちゃりと部屋から出てきたのは…。
グレーのキャミソにハーフパンツ姿のこの家の家主である、夢主家主 である。

「貴女って人は…」
『用事あるときしか家でないし、もうこれ日常だしな』
「、ふふ…昔と相変わらずね…」
『隠れ女子力ぐらいはあるわ』
「さぁ…どうかしらね」
『ロビンは相変わらずひっどいな』
「夢主家主から言われると褒め言葉みたいだわ」
『褒めてねェけど』



二人が二階から一階のリビングへと足を運ぶ。
そのときだ。

「ぶっ!!なっ、夢主家主てめぇ、なんつーカッコで歩いてんだよ!」
『お、キッドはよー』

向かい廊下から赤いチューリップもといキッドが歩いてきては夢主家主の容姿に顔真っ赤にしながら吹いた。

「はよーじゃねぇよ!いいいいから着替えてこい!!」
『え、キッドって意外にシャイだったの?』

「違いない」
『あ、キラーさんおはようございます』
「ああ、おはよう」

「おいまてこら、なんで俺とこいつとの挨拶が違うんだよ」
『キッドはエースよりも弄りやすいからだよ』
「そうだな」

「キラーまで…もういい、仕事行く…」

『いってらー』

「行ってくる」




『キッドたちも行ったかー』

「…夢主家主、私そろそろ仕事に戻るわね」
『おうよ、文献解読頑張って』
「ええ、」

再びロビンを見送って一人になる。
そうしてぽつりと呟くのだ。

『…デイトレだけの生活してたけど、そろそろ本腰あげますかな…』

資金も貯まった。空部屋もある、整理した。2階と3階もおっけい。
それじゃあ…、始めますか。


にたり…と何かを企んでいる笑みをつけて奥の部屋へと消えて行った。





ここは、大人数型ルームシェア『Via Lattea』。
豪邸とも言える家の一部屋一部屋を貸し出して共同生活させている。
住んでいる人たちは学生、専属大工、考古学者、一流コック、修理屋etc…個性的メンツである。そして、彼らと共に共同生活している管理人こと夢主家主が一番謎の大黒柱。
彼女のおかげでこの生活が出来ていると言えよう。

そんな彼らの日常をご覧あれ。




prev | next



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -