すれ違い5

『スコール!こっち!』
『バッツ…!』

スコールはバッツに電話して、クラウドを見かけなかったか聞いた。
バッツはというとスコールと別れたあと、クジャやバッツとメアド交換してる先生や学生らに"クラウドを見かけたら即連絡してくれ"とメールしていたらしく、それを聞いたスコールはどこまでも上手な幼なじみな年上に久しぶりに敬意が湧いた。

『クジャんとこにいるってさ』
『なぜクラウドは携帯を…』
『わかんねーけど…嫌な予感がするから行こうぜ!』


ーーーーー



そうしてたどり着いたクジャの研究室。
そして会いたかったクラウド。
そして会いたくなかったセフィロス。

スコールは目を見張った。

『またお前らか…』

セフィロスはバッツとスコールを睨みつけた。

『セフィロス…!』
『ふん…お前に用はない』

そういうとセフィロスはクラウドに近づいた。

『クラウド!』

スコールは叫んだ。
クラウドはセフィロスの動きを見ていた。
そしてセフィロスの腕が上げられ、クラウドの頭に手がふわりと落ちてきた。

『セ、フィ…』

そのまま撫で撫でと触られ、無言のまま、そしてセフィロスは扉へと向かった。

『セフィロス先生、もうセクハラはやめろよな』
『貴様には関係ない』

バッツにそう告げ、スコールに小さく話し掛けた。

『見せてみろ。…守れるものならやってみろ。アレは…必ず私の元にくるがな』

フ、と不敵に笑ったセフィロスをスコールは睨みつけ、

『言われなくても…!あんたには負けない!』

大声で叫んでいた。
楽しみだ、とセフィロスはその場から去って行った。

『わぁお!君はわりと喧嘩っ早いんだね』

そう切り出したのはクジャだった。

『セフィロス教授相手によく言えるねー!気に入ったよ!君もカモミールティー飲むかい?』
『え?』
『あー!クジャクジャ!今こいつらそれどころじゃねぇから!』

ほら!とバッツがクラウドの手を引っ張り、スコールに押し付けた。

『ぁ、バッツ?』
『お前らのカモミールティーは俺が飲んどくからさ!早く帰っていちゃこらしてこいよ』

ニカッ!
バッツの顔は明るかった。
スコールとクラウドは顔を見合わせて、

『バッツ、助かった』
『クジャ、ありがとう』

そして部屋を出て言った。

『うーん、顔はいいのに難しい二人だねぇ』
『なぁ!世話が焼けるっての』

二人はカモミールティーで乾杯した。



ーーー



『スコール…』

クラウドは立ち止まった。
スコールも立ち止まったが、表情は窺えない。それがまたクラウドを怯えさせた。

『あの、…さっきはごめ、っ』

スコールはクラウドをいきなり勢いよく抱き締めた。そしてクラウドを解放して、

『俺こそ悪かった』

スコールが頭を下げた。
それを見たクラウドは頭を横に降り、違うと呟いた。

『やめて…スコールは何も悪くない。悪いのは全部お、…』

クラウドの言葉をスコールはキスで掻き消した。
それは触れるだけの、優しいキスだった。
それだけで、クラウドの瞳にはまた涙がうっすらと溢れていた。

『俺はアンタが好きだ。だからこれからも側にいてくれないか?』

クラウドの良いところも悪いところも全部合わせてクラウドだ。
お互いがフォローし合えばいい。
ただそれだけのことだ。
クラウドが望んでくれればー…

『俺も、スコールが、好きだよ』

真っ赤なったのは瞳ではなく顔だった。
クラウドはこれからは相談するからとスコールに頭をもたれさせた。

これから…
きっとセフィロスのセクハラは無くならないだろうし、宣戦布告をしてきたのは何せ向こうだ。
スコールはこれからの学生生活に新たな問題を見つけたと同時に、失わなくてよかった大切なものを見つけられて安堵もした。

『それにしても…さっきのビンタは効いた』

そう言えばクラウドは狼狽した。

『人を叩いたのって…初めてかも』
『それは光栄だ』
『なんで』
『アンタの初めては全部俺がもらうから』

歯の浮くようなセリフをさらっと言い退けるスコールにクラウドがチョップをするのは、今から5秒後。





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