合格とこれからのこと

その日、スコールは第一志望であったこの大学の経営学部に無事合格した。
願書提出期限のギリギリまで経営学部にしようか法学部にしようか悩んでいたが、最終的に経営学部から法科大学院に進むことにしたらしい。
自分で決めることはとてもいいことだと思う。
『様々な経営方法を学ぶほうがいいかなと。…色々と』
そういえばあの時のスコールは不敵っていうかなんか…男の顔をしていたよいな気がしたけれど、多分気のせいだろう。
今日はスコールは学校へ報告に行っているし、今家には俺一人。
せっせとご飯やらお祝いの準備をしている。
メニューは大好物な、シチューにした。
スコールのではなく、自分の大好物。
前スコールの好きなものは?と聞いた時は『アンタが作ったものならなんでも』と言われた。そのあとに『クラウドが一番の大好物だ』と言われたことも不意に思い出して、なんだか恥ずかしくなって一人で苦笑いをこぼした。
ああいうことをサラっと言えてしまうスコールって凄いと思う反面なんなんだ?とも思う。
そして、ふと思う。センター試験両日の夜、二次試験日の夜、彼に抱かれた。
ということは、合格発表であった今日もまた…なんて考えてしまう自分に自己嫌悪した。
嫌なわけじゃない。
求められることも嬉しい。
でも、セフィロスの言葉がずっと頭の中を徘徊してる。
センター試験二日目に言われた『あれがお前の…。いい男を選んだな』とそして今日研究室で言われた『歳の差を見せつけられて嫌気がさすかもな』がぐるぐるしている。
最初は認めてくれたんだと思った。
でも違うのかもしれない。
セフィロスは今までみたいにスコールにも…
憧れの人と恋人。
大事なのは……

『クラウド?』
『…え?あ、スコール』

いつのまに帰ってきたのか、すぐそこにスコールが立っていた。

『どうかしたのか?』

浮かない顔をしているぞ、と言われ、急いで取り繕う。

『いや何も…おかえり』
『ただいま』

言われて、キスされる。

『合格おめでとう』
『ありがとう。それにさっきも。…アンタが合格発表のところにいるとは思わなかった』
『うん、気になったから…スコール、』
『ん?』
『俺が守るから』

スコールはキョトンとして、柔らかく笑った。

『それは俺のセリフだ』

強く抱きしめられた。
何を迷うことがあるだろう。
どうしたらいいかなんて具体的なことはまだわからないけど、
スコールを心底好きだと思う気持ちは本物だから。
どこにいても関係ない。
守りたい。

『…クラウド?』

沈黙した俺を不思議に思ったのか、スコールは怪訝な顔をして覗き込んできた。

『大丈夫だ。さぁ、食べよう』

シチューを盛り付ける。
今日は、素直になれそうだ。




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