出逢い2

バッツから話を聞いた時は純粋に嬉しかった。学内の友人が少ないから多少年下でも友人ができるのは大歓迎だ。だが聞いていたのと全く違う展開にクラウドは目眩を覚えた。
目の前の青年はスコールという。バッツから聞いたところによると4歳年下らしいがクラウドとさほど変わらないように見える。待ち合わせのファミレスに行くと、スコールは既に来ていた。はじめまして、クラウドです、と挨拶すると開口一番、好きだ。付き合ってくれ。思わず口がぽかーんと開いた。何を言われたか理解できた頃には隣にいたバッツが笑い転げていた。
「紹介しろってそういうことだったのかー。やっぱりスコールはおもしれー」
そんなバッツを無視してスコールはクラウドに詰め寄った。間にテーブルがあって本当に良かったと感じるくらいギラギラした目をしていてクラウドは腰が引けた。こんなことになるとは思わず思考が停止する。
「嫌なのか?」
「や、スコールのことまだ何も知らないし」
「これからの付き合いの中でいくらでも知る機会はある」
とりあえずこれが俺の想いだと言うとスコールが近付いてきた。年下の癖に男らしいカッコいい顔をしているなとぼんやり思っていたら、顔がぎりぎりまで近付いてくる。え?と事態を把握する間もなく目の前が暗くなった。同時に唇に触れる柔らかい何か。それがもぞりと動いて口の中に入ってきた。
「っ!」
はっとして逃げようにもいつの間にか肩を押さえられていて動くこともできない。ぬるりとしたものに舌を取られ吸われた。やんわりと噛まれる。その強さが絶妙で頭の奥がじんと痺れた。意外にも気持ち良いなんて思ってしまい、ゆっくりと離れていくスコールの顔を見上げる瞳には物足りない、なんて書いていなかったか恥ずかしくて聞くこともできなかった。
これが想いだと言われても返す言葉が何も出てこない。ただスコールを見上げていると、いつの間にか真面目な顔をしたバッツが場を取り仕切っていた。
「そんなにクラウドが好きか」
「ああ」
「じゃあお試しに期間限定で付き合ってみれば?」
「おいっ、バッツ!」
バッツが無責任な提案をする。それはさすがに失礼だろうと思ったが意外にもスコールは頷いた。
「じゃあとりあえず三ヶ月くらいを目処に。クラウド」
「何だ」
話をややこしくしやがって。じっとりと嫌味を込めてバッツを見てもどこ吹く風。こういう時に限って至極まともな事を言うのだった。
「三ヶ月経ったらちゃんと返事しろよ」
「…ああ」
こうして、スコールとの仮恋人期間が始まった。

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