細芯で書けるシャーペンは便利な反面、芯が折れやすい難点に悩まされます。そこで芯折れを防ぐ工夫がしばしば行われ、強筆圧に耐えられる製品も登場し、今回のデルガードは新たな挑戦者です。
2014年11月MA85 0.5mm発売、2015年11月MAS85 0.3mm及びMAB85 0.7mm発売。日本製。
今回取り上げるのは.3mmと.7mm。
重心位置がだいたい中央。
0.3mm:平均芯繰出し量約0.3mm、ノック負荷約800g、残芯6〜12mm、
0.7mm:平均芯繰出し量約0.6mm、ノック負荷約800g、残芯6〜12mm。
残芯長に幅があるのは、芯が12mm以下になるとチャックから外れ
空転するものの、芯が脱落せず、6mm程度まで書けるため。
◆替えゴムGタイプ、E-5A-G、φ4.7mm×12.5
突針なし。
本品には芯折れを防ぐ仕組みが二ツあります。
筆圧を吸収して芯がひっこむ従来のクッション機構(筆圧吸収機構)と、
横から筆圧が加わるとスリーヴ(ガイドパイプ)が前進して芯を保護するデルガード機構。
ガードが出るからデルガード、というダジャレ機構が本品の特長です。
.3mmの筆圧吸収機構が約400g、デルガード機構が約200gで作動し、
.7mmの筆圧吸収機構が約400g、デルガード機構が約500gで作動します。
ひっこむはずのものが迫りでてくるのはとてもおもしろい。
その仕組みは、スリーヴにそろばんの珠のようなふくらみがあって、横から圧力が加わると、グリップ前縁部内に沿って押し出される仕組み。
スリーヴの珠がカムの役割をします。芯自体は後退しません。
だからスリーヴが固定されていませんが、ぐらつくこともなく迫り出して芯折れを防ぎます。
がっちり固定するのではなく「柔よく剛を制す」かんじ。これはとても面白い機構で、筆圧が低い私でも楽しめます。
しかしデルガード機構は、芯を介して作動するため、粗悪品や折れやすい軟芯で書くと芯が筆圧に耐えられず、スリーヴが前進するまえに折れてしまい、この機構が十全に働きません。
圧力がかかり始めた段階では芯が保護されていないからですね。
なので、それなりの品質の芯と、ある程度の硬度(2B或いは3Bより硬い芯)を選ぶ必要があり、また芯を出し過ぎずに(ノック三回までで)書くことになります。
内部口金先端に金属製?戻り止めがあります。他製品はゴム製。
三ツ割チャックとスリーヴ先端までの距離が12mmくらい。
内部口金からスリーヴ先端までの距離が5mmくらい。
このために(前述したように)残芯長には幅があります。
芯詰まりしない、という点については、短い芯を数本入れて芯詰まりを意図的に起こしてみました。.7mmでは詰まりませんでしたが、運良く?.3mmで芯詰まりが発生。
分解してみると、チャック内部で詰まっており、内部口金にも短い芯が残っていました。それらを取り除いて回復。
5mmいや6mmくらい(残芯ギリギリ)の短い芯が二本以上あると詰まりやすくなるようです。
わかりづらい画像なんですけど、芯詰まりしたとき、ノックボタンと消しゴムを外して芯挿入口を覗いてみると、後続する芯がわずかに斜めに入っているのが見えます。
上から、
ぺんてるオレンズ.2mmプラチナ オ・レーヌ.5mm
本品.3mm/.7mm
三菱クルトガ.7mmトンボ モノグラフ.3mm クリップが手に干渉しやすいのが短所。
もう少しクリップを短くするか軸長を長くすべき、と感じますが、ペン軸を短く握る(芯先付近を握る)者が増えた現在、大した短所にならないかもしれません。
またペン軸が先細りではなく、芯先を見づらいのも短所ですが、これまたペン軸を短く握る者にとっては芯先付近を握れるため、むしろ長所かもしれません。
ペン軸前縁にも滑り止めを設けたほうがいいかもしれない。
ペン軸を長めに握る者には合わないと思うので、そんな人々には
ぺんてるオレンズやプラチナ オ・レーヌを薦めます。
実際の筆記では、シャーペンを紙面に直立させず斜めにあてるため、筆圧吸収機構(直立させないとうまく働かない)では不十分でしたから、デルガード機構は有用でしょう。
.5mmしかない競合品プラチナ オ・レーヌに対して、本品は折れやすい.3mmにも挑んだ点で評価でき、優位性を獲得しています。個人的には.7mmを加えたことに好感を持っています。
日本人の細字嗜好はいまに始まったことじゃありませんが、.3mmがいまや筆記用になっていることがびっくりですな。
現在の小学生の筆圧が低下しているのだそうで、その小学生が中高生になったときには筆圧が高くなっているのでしょうか。
参考リンク
→デルガード-ゼブラ公式LINEアカウント- | ZEBRA→もう、折れない。デルガード(DelGuard)ゼブラ公式チャンネル:YouTube