クロスセンチュリーという高名な細軸回転繰出式油性ボールペンがあります。
クロスは手帳を入れたシャツのポケットの隙間に収まり且つ取り出しやすく、種々の仕上げがあって見栄えもする定番です。
1992年、パーカー社がそれに対抗すべく投入したであろう細軸回転繰出式油性ボールペンが今回のインシグニア。
それまで同社は回転繰出式を避ける傾向にありましたが90年代を境に転向、本品は約210°回転、クロスより作動が軽く片手で操作できます。180°ならもっとよかった。
クリップは浅く入り、ポケットから抜き取りやすいよう上部16mmは露出します。
替芯インク容量はクロスの約三倍。
前軸の円錐部は約35mm,軸を短く握るなら合わないかもしれません。
クロスほどの優雅さはなく前軸と後軸の隙間も目立つものの、私はこちらを好んでいました。
パーカーはその後買収され親会社が変遷しましたが、インシグニアはソネットとともに自社資本時代の製品、買収後開発された製品が短期間で廃番になったことを考えれば皮肉な話です。