05Q 2
 放課後。

 灰色の制服のポケットに手を突っ込みながら、一人の男が、誠凛の門の前に立った。
 男の髪の色は黄、背は180を優に超え190に迫る。

「あ〜ぁ、此処が誠凛。流石新設校。綺麗ッスねぇ」

 道行く女子は、皆そろって彼に頬を染めるわけで。

「ねぇ〜、あの人かっこよくない?」

「背も高っか〜」

「ってもしかしてあの人、モデルの!!」

 全員の注目を一斉に集めながら、男は薄らと微笑みを浮かべて、バスケットボールとバッシュの音が響く体育館に向かった。





「おーいおい、アイツなんで居るんだようっわめんどくせぇのが来たしうっわマジでどうしてこうなったなぁんでいんだよお前まじちょっとっつーか何しにきたしうわ久々にあってウザいよでもアイツ憎めねぇっつうかまぁそういうところがいじりたくなるわけで騙しちゃおうっかなとか――って俺は何言ってるんだ」

 校舎の窓からその姿を見て、箒を片手に呟く者が一人。
 1人であったからよかったものの、誰かいれば当然驚きの目で見られていたことだろう。

「もーいい、俺あんな奴知らね。あーでっけー犬がいるー。黄色い犬だ珍しいー。つか黄色ってオレンジと似てるよなえ、俺ら同族ですかそんなばかなもういい絶対気付かせないし俺の演技力なめんなよ」

 白美は自己暗示として「うん」と頷くと、何事もなかったかのように掃除を再開した。


(I found the dog)

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