24Q 2
試合会場の公園に、雨音が響き渡る。じめじめとした冷たさの中で、笠松と黄瀬はぴちゃぴちゃと足音を鳴らしていた。
「やっぱ今日はやまねえかぁ……」
笠松が呟く後ろで、黄瀬は真っ直ぐ歩きながら、内心今日の試合のことを、そしてこれからの試合のことを思う。
火神の成長をはじめとした、誠凛の成長。それから、橙野のこと。黒子のこと。次は決勝リーグということ。自分達のプレイのことも考えた。
(青峰っちとやるのも遠くないッスね……)
その時、何が起こるだろう。
そしてやはり脳裏に浮かんでくるのは、今日の白美の姿だった。
彼について、知らないことわからないことがたくさんある。友達として遠くからみているだけなのは、酷くもどかしかった。そして、少し寂しい。
けれども彼は、自分が傍で何かすることを望んでいるわけではないのだろう。そもそもそういうタイプでもないはずだ。
だから、黒子たちに密かに思いを託す。
うのっちを頼んだと、黄瀬は黒子を、火神を、そして誠凛の面々を思い浮かべた。
――それでも、もしうのっちが望むなら。
黄瀬はポケットから携帯を取り出して、メールを打ち込む。
送信を押して、頬を緩めた。
――うのっちは本当に、足を痛めているのだろうか。
ひっそりとはっきりと浮かんだこの疑問の答えは、すぐ未来に見つかるだろうと思う。
今、黄瀬にとって大事なのは、もっと別の事だった。
(I’m behind you all the way.)
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