不死川実弥
2024/02/14 21:46

守りたかったはずのものを全部失ったのに生き残ってしまった実弥が、顔くらい見てもバチは当たらないだろうとその子の家の近くに行ったら「さねみちゃん?」本人に見つかってしまうのですね。

一家の惨殺事件の後に居なくなってしまった彼のことを心配していたその子と他愛のない話をして、その中で、もうすぐ嫁に行くのだと知ってしまう。
こいつは幸せになれるのだ、よかったなァ、と呟いたのも束の間、捲った袖口から痣が覗いているのを見つけてしまいました。

「何だァ、これは」思わずその手を掴んで指摘すると引き攣った笑みを浮かべて、「なんでもない」「転んだだけなの」と明らかに嘘とわかることしか言わない。そうしているうちに家の中からその子を呼ぶ声が聞こえて、一瞬振り向いたその子は返事しようとした喉を強ばらせた。

視線を地面に落とし、もう一度実弥を見たその子はこちらを真っ直ぐに見つめる瞳とかち合う。
手を離さずに繋いだまま、言葉もなくじっと問うていた。
──ああ、さねみちゃんはあのころと同じ、優しい人のままだ
固まっていた表情がくしゃりと歪んだ。ぼろぼろと涙を流しながら痣だらけの身体が震える

「さねみちゃん、……お願い、たすけて」




歳の離れた暴力的な男の後妻として売られるはずのその子を連れ出した実弥。
最初の一晩は風柱邸で過ごすが、未婚の男女が同じ屋敷で過ごすなど醜聞も醜聞、その子の今後に差し障ることになると蝶屋敷に送る。手伝えることもあるので気が紛れるだろう、というのは建前。

様子を見るためにこまめに通いながら、影でその子の嫁ぎ先を探す。痣者の寿命で永くは無い身、責任など取れようはずもなかった。
一方その子はというと、傷のある清くない身体で想いを告げることなど出来ず、また、実弥が昔の情や連れ出したことの責任感から面倒を見てくれていると思っている。

そう、両片想いである。

そんなある日、実弥がその子を紹介するための男を探していると耳にしてしまい──


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