れーくん
2022/04/18 23:13



・前(天国へのカウントダウン)呟いたけど、博士の車には少年探偵団が乗るといっぱいいっぱいになるのでねえさんは同行していません。

・結婚式の模擬訓練(高佐の式)の時にれーくんに首輪爆弾がはめられて、その後にカフェで村中さんカップルと「昨日の訓練で〜〜」と話しているので確実に爆弾をはめられてから一日経っている。そしてその日のうちに結婚式が行われた?とすると、少なくとも一晩はれーくんはねえさんのところに帰れていない。
少年探偵団が学校じゃなかったので、金曜日〜日曜日(仮に祝日があったとしても二日連続で休日のときのはず)の出来事。
つまり、ねえさんのお泊まりの日。
週末はねえさんはいつもれーくんの部屋に泊まっているから。
もちろん仕事でれーくんが帰れなくて泊まれなくなることくらいあると思うよ。今回のように。



数日帰れなくなったから、今週はお泊まりは無し。ねえさんへそうメッセージを送った。そんなことこれまでも何回かあったけれど、ハロウィンの仮装で出迎えてもらうのを楽しみにしていたのにな。
電波の届かない地下シェルターの中で夜を越す。
こうしている間にも外では絶え間なく事態は動いて、ひっきりなしに情報が入ってくる。先程、小学生探偵と話をした。不思議な子どもだ。ギフテッドかもしくはねえさんと同じように帰ってきた人のようだ。彼の協力があれば、今回の事件も必ず解決できる。してみせる。あの人の元へ帰るために。
エレベーターが下ってきた。風見だ。
「降谷さん」
手には彼個人の携帯電話が握られている。事件の話をする時とは違い、困ったような表情で口を開いた。
「あの人が、降谷さんと繋いでくれと……如何なさいますか」
あの人。風見が敢えて名前を口に出さずに告げた相手は彼女のことだ。
ねえさんが僕の携帯電話に直接電話を掛けることは少ない。特に今は、仕事で帰れないと伝えてあるから尚更に。風見には彼女の警護を任せたこともあり、いざという時の連絡先として教えてある番号に掛けたのだろう。
「話をする。君は少し外していてくれ」
「わかりました。30分ほどで戻ります」
向こうの受話器を有線のPCの傍に置いた。
「それでは、失礼します」
エレベーターの音が聞こえなくなってから、恐る恐るといったふうに声が聞こえた。
『……れーくん?』
あの人の声だ。呼ばれた、それだけで顔がほころぶ。
「ねえさん」
『あ、ぁあ、よかった。ごめんね、お仕事中なのに』
心底ホッとした、といった声音でねえさんは喋った。
「いいんだよ。どうしたの?」
『ううん、私は何でもないんだけど、……ちょっと声が聞きたくなっただけ』
「……そっか」
わざわざ風見を経由して連絡を取るくらいだ、彼女の身にも何かあったのではと考えてしまった。……声が聞きたくなった、だって。彼女は僕の帰りを待っていてくれている。
『ご飯はちゃんと食べた?』
「ああ、夕食はまだだったな。ちょっと喉を通らなくて」
首元の物騒な機械をそっと指でなぞる。
『少しでもいいから食べてね。今からもお仕事がんばるんでしょ?』
「あはは、ねえさんにはお見通しなんだね。うん、まだがんばらないといけないからそうするよ」
今夜はどれだけ眠れるのだろうか。彼女との約束の八時間には到底届きそうにないが。
「……ねえさんは、これから寝るところ?」
『うん。……実はね、れーくんの部屋にいるの』
「えっ?」
『待ってるから、ちゃんと帰ってきてね』
チュッ。
リップ音を最後に通話が切れた。ねえさん普段こんなことしないのに。今頃慣れないことをして顔を赤くしているんだろうか。
……そうか。ねえさんは今僕の部屋で帰りを待っているのか。早々死ぬつもりはこれっぽっちもないが、それでもいつ命を落とすか分からない仕事をしている。現に今も爆弾を付けられて隔離するしかない状態だ。
もしも僕がいなくなってしまったら、彼女は僕の部屋でずっと僕のことを待つのだろうか。ねえさんを喪った時の僕のように。
何がなんでも、あの人の元へ帰る。決意を新たにして受話器を置いた。





ねえさんは、「ちょっと人より情報が入ってきやすい(れーくんのことに限る)」。風見さんだって当然公安の機密である降谷さんのことを喋ったりはしないが、他のルートでどうにでも……束縛がキツくて愛が重いのは相互なので良し。
つまり、れーくんの身に何かが起きていることをねえさんは知っています。
コナンくんの活躍・暗躍によりれーくんの爆弾がどうにかなったことを知ったねえさんは、コナンくんにお礼しに行きます。れーくんへの貢献度で人の順位を決めるところある。めちゃくちゃ現金な人。
だから命を救ったコナンくんへのお礼、もしかしたら、組織解体にも一枚噛むかもしれない。

当初の予定ではねえさんは黒ずくめの組織には一切関与させない方向だったんだけど、これだけコナンくんに恩があればコナンくんにとっての利益=元の姿に戻ることの支援は惜しまないかも。



さてここで一番言いたかった話なんですが、映画の考察で『K学組の死因を繰り返し防いでいる』というものがあったじゃないですか。3年前にプラーミャの遠隔によって再び動き出した爆弾を松田が止めて。松田に向けて放たれた銃弾は伊達さんが車の扉で防ぎ。足音を消して屋上に上がり銃を撃つことで降谷を守った諸伏。現在軸でペイント弾で胸を撃たれた高木。トラックに引かれるも無事だった小五郎。爆弾と閉じ込められるも窓から外に出て助かったコナンくん・渋谷で動き出した液体爆弾を止めたコナンくん。

前世のねえさんは、れーくんの知らないうちに、爆弾によって命を落としました。今日は家に帰れないって連絡もできず。爆発によって起きた火災で身を焼かれて。

もし、れーくんが首輪爆弾によって命を落としていれば。ねえさんの知らないうちに。地下シェルターの中で連絡もできず。プラーミャの爆弾は爆発の後に燃え盛る。

ねえさんの死因がピースとしてこんなに上手いこと映画にハマるとは思わなかった。


れーくんはねえさんが帰ってくるのをずっとねえさんの部屋で待っていたけど、ねえさんは何かあったことを知るなりれーくんと電話しました。置いていく辛さは知っているから。


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