どらいふるーつ(Short・♀2・♂1・?1・不思議系)
あらすぅじー*時は今頃ついさっき。学校の終わった放課後にて。
生徒会長、別名「鉄の女王」月見 ウサギ(つきみ うさぎ)。
生徒会書記、別名「犬」犬比 龍太(いぬころ たった)。
不思議な女の子、摩訶 りんご(まか りんご)の三人の、出会いの話。
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ウサギ:別名「鉄の女王」。偉そう。女の子。高校3年生。以下ウ。
犬比:ただの犬。オトコノコ。今回はセリフが少ない。高校二年。以下犬。
りんご:ふしぎちゃん。ちょっと怖い。ウサギちゃんが好き。女の子。謎。以下り。
ナレーション:性別不問。仕事が多い。以下ナレ。
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ウ:「ドライフルーツというのは、全く不思議な食べ物だ。」
ナレ:ウサギは紅い赤い、ストロベリーのドライフルーツの袋を片手に、そう言った。
犬:「どこがです?」
ナレ:犬比が人差し指でお気に入りのビーフジャーキーを探しながら、ウサギに返した。
ウ:「だって、あんなに瑞々しい果物が、こんなふうになってしまうんだぞ?」
犬:「はあ。そういう機械もありますし、そういう風にならざるを得ない理由があったのでしょう」
ウ:「お前はつまらんなあ、犬」
犬:「何とでも。それより僕のお気に入りの「日本ジャァキィ」どこにあるか知りません?」
ウ:「知らんな。」
ナレ:鉄の女王と
揶揄されるほどの冷たい切り返しをウサギはして、ストロベリーの袋を手に取って、レジへと向かった。
レジには、ロリータ服を着た少女が立っていた。
ウ:「会計を頼む」
りんご:「はぁい。…どらいふるーつ、一点ですぅ」
ナレ:間延びしたような口調で、全く期待を裏切らない喋り方をするその少女に、ウサギはある疑問を投げかけた。
ウ:「ドライフルーツは、摩訶不思議な食べ物だと思わないかね?」
りんご:「はぁい、思いますよぉ。」
ウ:「やはり、君もそう思うか。」
りんご:「ええ、ええ。どうしてこんなに固くしちゃったんでしょうねえ。うふふ。」
ナレ:長い長いまつ毛の目を瞬きさせて、ウサギの手から小銭を手に取り、会計を済ませると、少女は袋を破いて開けた。
りんご:「それに、こんなにもろいんですもの」
ナレ:紅い赤いストロベリーを一つ手に取って、親指と人差し指でゆっくりと押しつぶし、赤い粉がレジに落ちる。
ウサギはその様子を見ながら、自らも同じようにストロベリーを一つ取った。
ウ:「人間の身体のようだな。」
りんご:「ええ、全くですわぁ。」
ウ:「なんだか君とは会話が合うな。お名前は?」
りんご:「りんご、ですぅ。うふふ。よろしくね、うさぎさん」
ナレ:少女は伝えてもいないウサギの名前を呼び、ウサギはそれに一瞬驚くように息を呑んだ。
ウ:「…っ…!?」
りんご:「うふふ。うふふふふ。ウサギさん、ウサギさん、あたらしいのを、もって、きますねぇ?」
ナレ:不気味な笑みを浮かべ、りんごはどこかへと行った。
レジの上に落ちた赤い赤い粉を見つめ、うさぎは一つ、ストロベリーを口の中に放り込んだ。
ウ:「…味が、濃くなっているのもまた、摩訶不思議なことだ。」
ナレ:ぽつり、つぶやいて。
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