酒を知り心を知れば

※夢主と張遼は元呂布軍。現在は魏軍設定
※両片思いから初めて想いが通じる話
※張遼視点。甘くて痒い!






「皆、今宵は心行くまで楽しむがいい……!」

曹操の音頭によって、一斉に盃が掲げられる。

とある戦の祝勝会。
勝利の宴に将たちは集い、酒と料理に舌鼓を打ちながら、催しや歓談に興じるのだった。

此度の戦でそれなりの戦功を挙げた張遼も例外ではなかった。
盃を手に、くつろぎながら徐晃や曹仁といった勇士たちと語らうひと時は、何物にも代えがたい楽しさがあった。

「先程から夏侯淵殿たちが盛り上がっておられるようでござるな」

徐晃がチラリと目をやった先には、夏侯淵をはじめ騒がしい一団が何やら卓を囲んで盛り上がっていた。
しかし、喧騒に混じって皆と共に騒ぐという性質ではない張遼は、そちらに一瞬目を向けるも特に気にするつもりはなかったのだった。

――何よりも聞きなれた単語が耳に入るまでは。


「英瑠よぉ、もう飲めないだか〜?」

「おおぅ!? 限界か?限界なんか??
あー、やっぱり体小っこけりゃそうなるわな、いくら人間超えてるつってもな。」

「あははあ、その体でこの俺にここまでついてきただけでも十分だと思うがね」


張遼の眉がピクリと上がる。
それに気付いた徐晃も、あれは……まさか、などと小声で呟きながら騒がしい卓を凝視した。

いつのまにかさらに人が集まってきて何かを見物している。

「だ、大丈夫です……、まだ飲めま……す〜
でも、わたし、いくらアヤカシ混じりだって言っても、半分は人間なんですからねぇ……??
それに……、古来から神仙だって獣だって、お酒には酔うって言われてるんですから、ね……」

誰より聞きなれた声がとうとう張遼の鼓膜を震わせる。

あろうことか、人だかりが出来ている卓の中心で、酒好きの軍師賈クと他でもない英瑠が向かい合って座り、お互い真っ赤な顔で酒を煽っているではないか。

その姿を視界に捉えた時、張遼は持っていた盃を思わず床に落としてしまうのだった。

転がった盃から零れた酒が床を濡らし、一瞬遅れて我に返った張遼。
その耳に聞こえてきたのは、あろうことか誰よりも警戒すべき軟派軍師の声だった。

「英瑠殿……無理はしない方がいい……。
一人で歩けなくなる前に、よければ私が部屋まで送っていってさしあげましょう……」


みしり。


落ちた盃を丁寧にも自らで拾い上げた張遼の手には、盃を握り潰さんばかりの力が込められていた。
彼の粗相に気付いて近付いてきた給仕の顔が、その顔を見るなりたちまちひきつって固まってしまう。

「ちょ、張遼殿」

不穏な気配を察知した徐晃が張遼に声を掛けようとするも、彼は律儀に給仕に盃を渡すと、そのままずんずんと例の卓の方へ向かってしまうのだった。

まるで、上司が書いた書簡に誤字を見つけたが黙っていようと思っていたところに、同僚が逸ってそれを指摘しに行ってしまった時のような。
そんな微妙な顔で、張遼を見送る徐晃。
その隣では、曹仁がやれやれというように静かに首を振っていた。


「あははあ、いよいよ限界かねぇ」

「う……、負けました……」

「第一回、賈文和 対 龍英瑠の飲み比べ勝負、終了〜ってね!
……とはいえ、俺もだいぶ飲みすぎた……
明日が怖いね、こりゃ」

「おいおいおい大丈夫か、英瑠よぉ〜!
一騎当千の女将軍が酒の飲みすぎて死亡なんて洒落にならないからな!?」

「やはりここは……、私が部屋まで送って……」


「失礼する!!」


卓に突っ伏して動かない英瑠の肩に手を置こうとした郭嘉を押しのけて、合肥の鬼神が騒動の中心に踊り出る。
彼の静かな気迫に皆一瞬で何かを感じ取ったのか、遠巻きに見ていた観覧者は蜘蛛の子を散らすようにそそくさと逃げてしまい、残ったのは中心で煽っていた夏侯淵ら主要武将たちと、この下らない勝負の白星をもぎ取った賈クだけだった。

「な、張遼、おお落ち着けお前。とりあえず落ち着け。こここれはだな、」

「黙っていただけるか」

「……っ!」

揺るがない張遼の気迫に、彼を真っ先に宥めようとした夏侯淵さえ黙ってしまう。

逃げ場がないと悟った賈クは、俺の乱世もここまでかねぇなどと酔っ払っいの風体でこぼしていた。


「おい貴様ら何くだらんことをやっている……!
いくら宴の席とはいえ羽目を外しすぎるな……!
と、張遼、ここに居たか。
孟徳が呼んでるぞ。早く行け」

「惇兄ぃぃ〜! 愛してる!!」

「あァ!? なに急に気色悪いこと言ってやがる!
酒もたいがいにしとけよ……っておい、英瑠はどうしたんだ……、
……なに?飲み比べだぁ? 下らん!!」

絶対絶命かと思われたところに割って入ってきた夏侯惇に、救世主とばかりに感謝する夏侯淵とその他の面々。

怒りを滾らせていた張遼も、さすがに主君が呼んでいるとあらば振り上げた拳を下ろすしか無いのだった。

ため息をつき曹操の元へ向かおうとする張遼に、夏侯淵が申し訳なさそうに声をかける。

「わ、悪かったな張遼よ、英瑠をこんなにしちまって。
英瑠は酒をどんだけ飲めるのかって話になっちまってな、俺も賈クも皆もつい悪ノリしちまったのよ。
英瑠はちゃんと責任持って介抱するから、許してくんないか」

張遼は夏侯淵以下皆の顔を一瞥すると、「ああ」と答えるしかないのだった……。




曹操の話は他愛のないものだった。
主に此度の戦の話や、張遼の戦果を称賛するものや。

話が終わる頃には宴もたけなわとなり、張遼は先程の卓に戻ると、英瑠の姿が無いことを確認してから宴の場を後にするのだった。



「…………」

そのまま自室に戻ろうとした張遼だが、足は素直に動いてはくれなかった。

英瑠は、あの夏侯淵が責任を持って介抱すると言っていたはずだ。
悪ふざけが過ぎた彼だが、あれでも責任感は強く、言った事を違えるとは思えない。
英瑠は恐らく部屋に運びこまれ水でも飲まされて、何も心配はいらないはずだ。

しかし。

頭で理解している理屈とは裏腹に、やはり足が言うことを聞いてはくれない。

曹操に付き合い多少酔いが回ったこともあり、張遼は英瑠の顔を確認しがてら軽く小言でも言ってやろうかと言う気になっていた。
将たる者、どんな時でも己を見失うなと。

……いや、これではどこぞの厳格な武将のようではないか。

そういえば彼はあの悪ふざけの場には居なかった気がする。
彼の厳格な性格を考えれば当然のことではあるが。

ともかく。
この胸の中を占有している軽い苛立ちと焦りは、彼女のそういった将としての脇の甘さに対して抱いているものであり……、
否、あるべきで…………

そもそも、そんなことでは到底武を極めることなどは…………

そこまで考えたところで張遼はかぶりを振った。
そして何かを吹っ切ると、早足で英瑠の部屋に向かったのであった。





「英瑠殿」

「……はぁい……、……どうぞ〜……」


これは驚いた。

酔い潰れ寝てしまっているだろうと思いつつも、一応扉の前で声をかけただけなのだが……、まさか返事が返ってくるとは。

しかしまだ声が素面の彼女ではない。

加えて、声の主を確認もせずに部屋に入れるとは。

これはいよいよ注意せねばならぬと張遼は英瑠の部屋に踏み込んだ。


「……英瑠殿。
酔い潰れているところ申し訳ないが、誰かを確認せずに部屋に入れるのはいかがなものか
……っ、」

寝台の上で半身を起こした英瑠はすでに生地の薄い寝巻に着替えていて、張遼にぼんやりとした目を向けていた。
帯が緩み胸元の大分開けられたその格好に、張遼は頭が痛むのを自覚しつつ目を逸らしながら思わず声を張り上げてしまう。

「っ、そのような格好で男を部屋に入れるなど!
私が女性でないのは声でわかったはずであろう、英瑠殿!
飲み比べの件といい、貴公は隙が有りすぎる!
もっと自分の身を大事にされよ!!」

言ってしまってから、張遼はこのような夜更けに頭ごなしに彼女を叱ってしまったことを後悔する。
自分も素面でないのは自覚しているが、それにしてももう少し言い方があったのではないかと二の句を継ごうとしたところで、英瑠が寝台から下りてきて口を開いた。

「申し訳ありません文遠様……
でも、今のは文遠様だと分かっていたから、どうぞと言ったのですよ……!
文遠様のお声は一言でもわかりますし、気配でも判別できますよ……!」

「っ、そうだとしても、たとえ私であっても無防備に招き入れるのはいかがなものか……!
英瑠殿、私も男なのだぞ……!」

「わかっております」

「わかっておらぬ……!!
いくら英瑠殿がつわものとは言え、そのように酔った体で武器も無く、油断している時に襲われたらどうなるかは説明するまでもないだろう……!!」

「はい……、」

英瑠は熱くなる張遼に近付いてそっと顔を見上げる。
彼女の白い肌が酒でほんのり朱に染まっていることに気付き、張遼はまた思いきり彼女から視線を外した。

そのまま、彼女はぽつりぽつりと話し始める。

「嬉しかったんです……
宴で皆に声をかけていただいて……
私のような半人半妖でも、皆を楽しませることが出来るならと……
それに、飲み比べで負けた時もちょっとほっとしたんです。
私にもちゃんと人間の部分があるんだって……
もしいくら飲んでもお酒に酔わないとかだったらどうしようかと思って……
だからつい羽目を外しすぎてしまいました……!
文遠様に迷惑をかけてしまい申し訳ありません……!」

英瑠の言葉を聞いて、張遼は脱力するとため息をついた。
彼は自分より大分小さい彼女の肩に手を置き、諭すように語りかける。

「英瑠殿……!
そのように自分を卑下めされるな……!
貴公はすでに誰からも認められた曹魏の将。
血や力がどうであれ、そなたの心は紛れもなく人間だ!
他でもない私が証明する……!

だからもう、あのような無茶はやめられよ……!
英瑠殿は自分にどれだけ魅力があるのか全くわかっておらぬ……、
目を離すと心配でたまらん、気付くとそなたを目で追ってしまう私が居る……!」

「文遠様……」

「っ、最後のは忘れてくれ。
私も酔いが回っている故、余計なことまで口にしてしまうのだ、許されよ……!」

張遼が我に返り肩に触れていた手を離すと、すかさず英瑠がその手を取った。
まるで、行かないでくれとでも言うように。

「文遠様の手は温かいですね……」

「っ、だからそのような無防備な振る舞いを――」

「私の手も温かいですか……?
こうして文遠様に触れていると、嬉しくて涙が出そうになります……
私は、文遠様だからこうしているのですよ……!
他の方には、たとえどれだけ酔っていようとも、このようなことは致しません……」

英瑠はそう言って頬を赤らめると、張遼の手を愛おしそうに両手で包みこんだ。

口を開けたまま固まる張遼。

彼の顔を潤んだ瞳でしばし見つめたあと、英瑠はようやくその手を解放するのだった。

「……、無礼な真似をお許しくださいませ……
酔っ払いの振る舞いだと、どうか……」

申し訳なさそうに張遼から離れていこうとする英瑠。

張遼の中で何かが切れた。

気付いた時には、離されたばかりの手を彼女の腰に回し、その体を抱き寄せていた。

「文遠様……!」

「英瑠殿……!
この張文遠、戯れではなくそなたの本気と受け止めても良いか」

夜更けの静寂に包まれた部屋が、しんと静まり返った。

それから、やや遅れて張遼の言葉を咀嚼したらしい英瑠の顔はたちまち朱に染まりはじめ、次の瞬間には、まるで堰を切ったように思いの丈が口から吐き出されていた。

「はい……、
私は……、文遠様をずっとお慕いしておりました……!
私のような、あやかし混じりの者が……と、この想いは秘めて一人で抱いていこうと決意していたのです……!
でもこうして文遠様に触れる機会を得……、どうしても自らの胸の内を隠し通すことが出来なくなってしまったのです……!
同情は不要でございます、迷惑であれば、どうか忘れてくださいませ」

英瑠は震える声で恐れながら秘めた想いを晒け出しながらも、張遼をしっかりと抱きしめ返した。

まるで、ずっとこうして抱き合う日が来るのを待ち望んで居たように。

「……、英瑠殿。
その必要は無い。
私もずっとそなたを慕っていた。
そなたは誰にも心を寄せることは無いのだと思っていた。
しかし今そうではないと知り、喜びと幸福感に胸が締め付けられる思いだ。
英瑠殿。
……私のこの想い、どうか受け止められよ」

「文遠様……!!」

英瑠が張遼の胸に押しつけていた顔を上げる。
その顔には安堵したような、今にも泣き出しそうな表情が浮かんでいた。

張遼は泣かないでくれ、と言うかわりに英瑠の頬を撫で、そのまま唇を塞いだ。




「文遠様……っ、文遠さま……っ」


想いが通じあった喜びと未だ覚めぬ心地良い酩酊感に背中を押され、張遼は夢中で英瑠を求めた。

寝台の上で肌を晒け出した彼女はひたすら美しく、切ない声で呼び縋るその姿に何もかも歯止めが利かなくなりそうだった。


いつだか、どこからか流れてきた噂があった。

半人半妖の女の体はどうなっているのかと。
顔は人間でも、もしかしたら衣服の下は獣のように毛で覆われているのではないかといったものから、交わったら最中に食いちぎられるのではないか、精気を吸い取られて死ぬのではないかといった下卑たものまで。

しかし実際は。
人間と何ら変わりはないではないか。

下らない噂は全て間違いだと、彼女の噂をする全ての人間に大声で言って回ってやろうか。
閨での彼女がどれだけ魅力的か。それを証明したのは自分だと。
しかし同時に、彼女の真の姿は誰にも知られたくはないとも思っている。
数多の下らない噂話を聞き流して、自分だけが彼女の全てを知っているのだと、勝ち誇るような気持ちで。

様々な想いがぐるぐると張遼の中を去来し、彼は胸が焦がされるような熱情と、繋いだ身体から伝わる快楽に酔った。

「文遠さま、っ……、
お慕いして、おります……、
どうか、もっと、……っ」

熱に浮かされた声と瞳で愛する者を求める英瑠の姿に、張遼は満足そうに目を細めながら彼女の白い肌に唇を寄せたのだった――





「英瑠殿……すまぬ。
たがが外れて性急にこのようなことを……
しかし気持ちには偽りは無い。
それだけは信じて欲しい。」

酒のせいもあるとはいえ互いの気持ちを確かめた途端に押し倒すなど、まるで大皿に残った最後の一つの饅頭の行方をじっと監視したあげく、「どうぞ」と勧められて嬉々として手を伸ばすようなみっともない行為だと張遼は自省する。

しかし英瑠はいいえ、と首を振り、寝台の上で張遼の腕に抱かれたまま言葉を返した。

「文遠様にこうして触れていただけるなんて、夢のようです……
こんなことを言うのは、はしたないかもしれませんが……、
嬉しくて……心地良くて……
こうしていつまでも、文遠様の体温を感じていたいと思っておりま……
っ、何でもありません……!」

自分で言った言葉が恥ずかしくなったのか、英瑠はそのまま張遼の胸に顔を埋め黙りこんでしまう。

張遼は緩やかな笑みを浮かべると、彼女の頭に唇を寄せた。

「今後は普段から遠慮せずに、思ったことをもっと素直に言っていただきたい……
とりあえずは、夜の英瑠殿は意外と情熱的だということはわかったが」

「っ……!!」

張遼の一言に弾かれたように顔をあげた英瑠は、まるで恥ずかしい失敗をよりによって一番見られたくない人に見られてしまったというような表情をしていた。

「いや……、嫌いという意味ではないから安心めされよ。
むしろその逆だ。
普段の穏やかな英瑠殿とも戦場での苛烈な英瑠殿とも違う、第三の英瑠殿の姿を見ることが出来たのを、私は嬉しく思っているぞ」

張遼はそう彼なりに励ましの言葉を紡いだのだが、しかしどういうわけか英瑠の眉尻はさらに下がって、唇をわななかせながら顔を真っ赤にして一言も発さないのだった……。




翌朝。

夜が明ける前には英瑠の部屋を後にし自室に戻った張遼は、いつもの気迫の篭った佇まいで朝を迎えた。

「よぉ、おはようさん!
……なぁ、昨日のあれ、本当に悪かったな。
あいつ、今頃二日酔いでのたうち回ってるんじゃねぇか?」

夏侯淵の声に張遼は振り向き、挨拶をすると言葉を返した。

「私も謝らなければなりませぬ。
つい熱くなり、あのような形で皆が楽しんでいる場を乱したことは申し訳ないと思っております。
夏侯淵殿には英瑠の介抱をしていただき感謝致しまする」

「あ、いいっていいって!
よく考えりゃよ、武将とは言え女ひとりに寄ってたかって酒飲ませて潰してって、やべぇことしちまったと思ってるんだわ。
大事な女をそんな目に遭わされたお前さんの怒りももっともだと思うんだよ。
あ、あと一応言っとくが俺は英瑠を部屋の前まで連れてっただけだからな。
……ああぁ、郭嘉は居なかったしちゃんと女官が付いてたから!!
そんな怖い顔すんなって!

……なに?
『大事な女』のとこか?
そんなの見てりゃわかるだろうが。
お前さんと英瑠は同じ呂布軍幕下に居た者同士。そりゃ俺たちにゃ無い、旧くからの絆だってあるはずだ。
だがそれだけじゃないだろ。
……大事にしてやれよ、英瑠をよ。」

全てを知っていたような夏侯淵は、白い歯を見せて笑いながら張遼の肩を小突いた。

誰にも知られないように秘めていた懸想がこの調子では既に皆に気付かれているのだろうと知り、張遼は軽く眩暈を覚える。
が、何とか動揺を抑えこみ、
「言われずとも、」
とだけ返したのだった。


英瑠が起きたらどんな顔で彼女に声をかけようか。

もはや彼女の居ない人生は考えられない気がした。

主君である曹操はどのような反応をするだろうか。

武の極みを目指す張遼と英瑠。

これからは、武だけではなく愛も極めていかねばならぬ……
と彼は独りごちて、
うむ、と満足そうに天を仰いだのだった。





やがて。
普段より遅い起床に慌てて部屋から出てきた英瑠に、
「愛!!
それは女性を美しくするもの!!
美しくなりましたね、英瑠」

や、

「おやぁ英瑠殿、遅い起床ですなぁ。
ははぁ、やはり昨日の酒がまだ残ってらっしゃるのか。
……いや、それだけじゃないでしょう。
一騎当千の豪傑同士のつがいとは、あははぁ、こりゃめでたい!」

とか、

「英瑠……、貴様らがどんな付き合いをしようと勝手だが、孟徳に迷惑をかけたらただじゃおかんぞ」

だの、

「よっ英瑠!
二日酔いは大丈夫か?
……なぁ、張遼とうまくやれよな。
なんかあった時、あいつを止められるのはお前さんだけなんだからな。
ま、あいつはお前さんにベタ惚れだから大丈夫だとは思うけどよ!」

などなど……

様々な人から様々な言葉を投げかけられて、再び真っ赤になってしまった英瑠は、しばらく俯いて過ごすことになるのだった…………





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