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謎解き



それから甲田さんを連れてロッジの外に出る。



「動機は本当に金なんでしょうか?殺人事件になったら会員権の話なんて中止になるに決まってる」
「じゃあ···なんの共通点もないメンバーがどうして2人も殺されなくちゃならないんですかね。私達は、昨日顔を合わせてたばかりなんですよ······一体、他にどんな動機があるんですか」



甲田さんの言葉にあたしは首裏に手を当てながら視線を逸らした。
だが、すぐにハッとして視線を上げる。



『待てよ···。ひょっとして···』
「何ですか」
『殺人の動機がこのツアーより以前にあったとしたら···』



あたしがそう言うとはじめちゃんもわかったようでハッとした顔で甲田さんを見た。



「甲田さん。何か思い当たることはありませんか?」
「ありません」



断言する甲田さんにあたしとはじめちゃんは視線を合わせると、



『美雪と空を頼みます』



そう言ってすぐに駆け出した。


そして向かうは九条さんのロッジ。



「俺たちの聞く事に正直に答えてください」
「はい」



九条さんは椅子に座っており、あたしとはじめちゃんはソファの前で立っている。



「まず、このツアーの招待客はどうやって選ばれたんですか?」



はじめちゃんのその問であたしたちはソファに腰掛けた。



「過去に我が社を利用してくださった方の中から、抽選で選んだはずです」



抽選でお父さんとお母さんが当たったってこと?
いやそんなはずは···。



「それと九条さん······あなたは水恐怖症だと言っていましたが、それは?」



九条さんが言いづらそうに視線を逸らした。


そして次に向かうは小林さんの所で。
ロッジに入ると、小林さんは一生懸命ラジカセと向き合っていた。



『小林さん、何してるんですか?』
「ニュースを聞いてるんだよ」



あいかわらずの小さい声だ。



「ラジカセはジェイソンに壊されたんじゃ···」
「私が直したんだ。それがね、ちょっと変なんだ」
「『ちょっと······変?』」



聞きながら近寄ると小林さんは「聞こえない」と言ってラジカセに耳をもっと近づけた。



「小林さん。あなたが死体の絵しか描かなくなったのは3年前の事故が原因じゃありませんか?」



はじめちゃんがそう聞くと、小林さんは驚いたように振り返った。


そして次に向かうは、聖子さんのロッジで。



「3年前の事故···?そんなこと聞いてどうすんのよ」
『教えてください。奥さんもあの時···』



聖子さんは1回あたしたちに向けた顔をすぐに戻すと、「君たち」と呼んだ。
「『はい』」と返事をすると、聖子さんはベッドに腰掛けて足を組んだ。
スラリとした足に思わず目が奪われそうになって視線を逸らす。


いや、女のあたしがうらやむほどの美貌の持ち主で···。



「あたし犯人知ってんのよ」
「『え?』」
「聞きたい?」



あたしたちが何も答えずにいると。



「いつきよ。いつき陽介」



あたしたちは顔を見合わせた。
そしてあたしたちは美雪たちのいるロッジへと戻ってきた。
寝ている美雪と空の横で甲田さんと対峙する。



「甲田さん、あなたも3年前に沈没事故を起こした豪華客船に乗り合わせていましたね」
「······ええ···それが?」
『メンバーの中、少なくとも5人が3年前、オリエンタル号に乗り合わせていました。このメンバーが意図的に選ばれたことも間違いありません。けど···どうして500人もの乗客の中から、甲田さんたち7人だけが?』



あたしがそう問いかけると、甲田さんは視線を逸らした。
その時、「うわあああ!」と叫び声が聞こえてきて、あたしたちはすぐに駆け出した。





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