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相剋寺



相剋寺に辿り着くと出迎えたのは大量の京妖怪たちだった。だが、こんな奴ら土蜘蛛に比べれば全然弱い部類に入るので、前に出ようとしていた天狗たちを押し留めて私が一歩前へと出る。



『狐火』



腕を横一線に薙げば、その軌道から幾つもの青色の狐火が京妖怪たちに向かっていく。ボオオッ!と燃やし尽くされる京妖怪たちから「ギャアアッ!」と悲鳴があがった。その隙に余った残りの京妖怪たちに素早く近付いて全力の回し蹴りを喰らわせる。



「グハッ」
「グアアッ」



マジで大したことないな、コイツら。


一通りの妖怪たちを蹴散らして、ふう···と息を吐いていれば隣にリクオが並んだ。その背後に鴆や天狗たち。私はリクオと視線を合わすと、目の前にある寺の扉を思い切り蹴破った。


ドガアァッと吹き飛ぶ扉。地面へとパラパラと落ちる木屑の間からこちらを驚いた様子で見る氷麗と呑気にお酒を飲んで私たちを待っていた土蜘蛛の姿が見えた。リクオと二人で土蜘蛛を鋭く睨みつける。



「神夜、様···?リクオ、様···?」



土蜘蛛に吹きとばされた時に氷麗を庇った時以来の再会。最初に土蜘蛛と対峙した時の私たちとは違う目つきに氷麗は信じられないものを見るような目で私たちを見た。

土蜘蛛が「プハップイ〜〜」と飲んでいたお酒から口を離して、私達を見下ろす。



「よおやく来やがったかい」



土蜘蛛の後ろで、氷でできた武器を構えていた氷麗の手が震える。


私は桜を、リクオは畏を使いゆらりとその場から姿を消せば、気付いた土蜘蛛が「ん?」と声を上げた。それと同時に響き渡る氷麗の叫び。



「なんで···何で来たんですかぁ!!」



私達は彼女の背後へと姿を現すと───私が氷麗を後ろから庇うように引き寄せて抱きしめ、リクオは私達を庇うように前へと出て土蜘蛛を睨みつける。



『あんたを助けるために来たのよ、つらら』



目に涙を溜めた氷麗が私を振り返った。そんな彼女に微笑みかける。



「すまねぇ······時間かかっちまったな」



ふるふる···と力無く私の腕の中で氷麗が首を横に振った。私が氷麗を連れて一歩下がれば、リクオが祢々切丸を構えて土蜘蛛を睨み上げる。



「ふん。ぬらりくらりと邪魔くせぇ。あとかたもなく···つぶしてやるぜ
「よお土蜘蛛···今度こそてめーをたたっ斬る!



相剋寺での戦いが幕を開けた───



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