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闇より暗い翼を持つ妖怪



5年前───奴良組本家。



カアカアと鴉が鳴く中、私はリクオを探していた。



"リクオーー、リクオーーどこぉ?"



その時はちょうど私はリクオと一緒にかくれんぼをしていたのだ。



"もう······日も暮れてきたわよ。今日はつららとごはん作るって約束したんだけどな···"



いくら呼びかけてもリクオは出てこない。



"困ったなぁ。私が「鬼」のときはいつもこう···ってつららの時もそうか"



一人納得していると木々の隙間に人影が見えた。『あ、いた!』と言って私はその人影に近づいていく。そして、



"見つけたよ、リクオ!!"



とガシッと肩を掴むと振り向いたのは本家にいた妖怪で私は思わず『うわあ!?』と声を上げてしまった。すると木の上からガサッとリクオが出て来た。



"残念。それは葉っぱをかぶった小鬼だよ〜〜!!"
"わっ"



思わぬ登場に声を上げてしまう。



"アッハハハッハハハハ!雪女と同じで神夜は“かくれんぼ”が苦手だなー!"



「へへへッ!」笑いながらズザッと木から降りるリクオに私は『もぉ···』と溜息を吐いて着物の袖口を口許に近づけた。



"でも···よかった!いくら探してもいないから···“夜雀”に······触れたのかと思ったよ"
"夜雀?何それ?"
"“妖怪”だよ?四国の妖怪だから会ったことはないけど···。その黒い翼に触れてしまったら·········目の前がまっくらになっちゃうんだってさ"



氷麗とか鴉天狗から聞いた話だけど。



"夜道で目をくらませて人を困らせる妖怪とか······"
"こっわーー"



頭の後ろで腕を組んでそう言うリクオにニコリと笑いかける。



"リクオ、怖がっちゃダメだよ。妖怪は闇に生きる者···闇を恐れたら夜雀にやられてしまう"
"ふーん。じゃ!!次はボクが鬼だよ!"
"は!?まだやるの!?"




目の前の夜雀と対峙している中、そんな昔の出来事が私の頭を過った。そして夜雀と戦う事で忘れていたが私の当初の目的はリクオを探すことだ。



『つららを痛めつけてくれたことのお詫びをしたいんだけど···こっちにはやらなきゃいけないことがあるんだよ···ね!』



そう言って夜桜を横に切ると青色と深紅の狐火が横一線に飛び出して夜雀に向かっていく。それを夜雀が翼で防ぐと、少し離れたところからドンと火柱が上がった。


それに目を向けると玉章と対峙している我らが大将、リクオの姿。


その姿を確認すると夜雀は私を一瞥してリクオたちの方へと飛んで行ってしまった。



『あ、待て!』



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